日本だけじゃない! 世界各地で「オーバーツーリズム」が紛糾中!!
でもそうした「別の魅力」を探すのは大変では? 「実はそうした場所を探すに当たっては、外国人観光客の視点は重要だと思います。富士山は日本人にとってある意味"当たり前にある山"ですが、日本のシンボルとして外国人をあれだけ集めるようになると考えていた人は多くないでしょう。 またコンビニと富士山を組み合わせた写真がウケるというのも、日本人にはなかった視点です。そうした外国人の目を通して私たちが知った日本の魅力を生かせば、観光客の分散化に役立つのではないかと思います」 でも、英語が苦手だったりして、外国人観光客とコミュニケーションを取ることにハードルを感じる人も多いですよね......。 「外国人と会話できるようにしたいと、地域で英会話教室を始めた観光地もあります。こういう『国際化』は良いことですし、対話による相互理解の促進は必要不可欠だと思います。日本はこれまで、国内の観光需要で各観光地が潤ってきました。 インバウンドが増えた現在でも、日本国内での旅行消費の8割弱は日本人観光客によって支えられています。これは諸外国ではあまり例のないことです。 ただそのことが、"外国人慣れしていない観光地"をつくってしまった。日本人同士なら明文化しなくても"あうんの呼吸"でなんとかなるところが、外国人相手だとそうではない。よけいな摩擦を生まないためにも、ルールは明文化する時期に来ていると思います。ある部分、日本の良さは失われてしまうかもしれませんが」 ■外国資本による観光地の"乗っ取り" そうした取り組みがなく、オーバーツーリズムによる諸問題をそのまま放置し続けると、観光地はどうなってしまうのだろう? 「観光客向けの地域へと加速していくと考えられます。日本には実際に地域の生活者にはまったく縁のない『外国人観光客向けのテーマパーク』になっている観光地もあります。そして、観光客が外国人になるだけでなく、観光客を受け入れる側が外国人になっていくということも起こりえます」 なんと......具体的にはどこで起こっているのだろうか。 「日本において最も外国人向けの開発が進んでいるのは、たびたび話題になる北海道のニセコ地域です。 ニセコには英語の看板があふれ、まるで日本ではないかのような街並みとなっており、外国人旅行者に向けたきめ細かなサービスが用意されています。そのため外国人旅行者はまったくストレスなく、日本の上質な雪でのスキーやスノボを楽しむことができます」