伊藤園が考える高齢社会に欠かせない飲み物、水分補給の「とろり緑茶」と栄養補給の「玄米ミルク」が介護の人手不足で2ケタ伸長、きっかけは4人の専門部署立ち上げから
一方、栄養補給の商品では、「6大栄養素 玄米ミルク」を展開している。小容量、高カロリー(150Kcal)で玄米の甘香ばしい味わい。一般的な牛乳や豆乳飲料と比較しても、栄養成分量、種類ともに多いことも特徴だ。 加齢により心身が老い衰えた状態である「フレイル」の高齢者は、予備軍を含めて約半数いるという。「フレイル」にならないためには、カロリー摂取を制限するのではなく、適切なエネルギーを摂ることが大事になる。 久保田課長は、「カロリー摂取に関する世代別の考え方のギアチェンジが必要になる。高齢になる前のエネルギー制限の考え方からギアチェンジし、高たんぱく、高ビタミンDなど適切なエネルギーを摂ることが大切だ」と話した。「玄米ミルク」を飲み続けてもらうことで栄養課題の解決につなげたい考えだ。 今後に向けては、「高齢者と介護者の困りごとを解決していきたい。当部の2030年の売上目標は50億円。既存製品の販路拡大や商品の認知向上、新商品の開発を進めていく」(久保田課長)とした。
高齢社会の日本は、70歳くらいまでは元気な高齢者が多いが、75歳を境に要介護(要支援)認定率が増加する傾向にある。一方で、介護職の人手不足と社会保障費の増加、介護難民の増加が課題になっている。 さらに、経済産業省によれば、家族介護者負担は増大し、2030年の経済損失は約9.1兆円となるという。また、同年には318万人が仕事をしながら家族を介護する「ビジネスケアラー」になることも予測されている。 伊藤園による介護者の手間を減らし、高齢者においしく水分や栄養を補給してもらう取り組みは、高齢者の増加と人手不足の加速で、今後ますますニーズが高まりそうだ。