大谷「ホームラン」を支えたロバーツ監督の危機対応能力
通訳の水原一平氏の問題では、多くの大谷翔平ファンが心配をし、やきもきすることとなった。過去、数多くのスターを抱えてきた人気球団であるドジャースの対応が意外と後手に回った、あるいは下手クソだったという指摘もある。 【写真を見る】同情の声も集まる「水原一平氏の妻」 大谷妻と水原妻が仲良くなってたのに
一連の経緯とそこから学べる教訓について、企業の危機管理コンサルティングを行ってきた株式会社リスク・ヘッジの田中優介代表取締役社長が寄稿してくれた。 ***
大谷選手は八つの力を存分に発揮していた
危機管理の問題が議論されるのは、大抵、何らかのトラブルやアクシデントが起きた後です。直近では、水原一平氏の違法賭博問題、小林製薬の紅麹サプリ問題、自民党の政治とカネの問題等々。 こうした局面で、対応を誤った場合に「危機管理能力」「危機管理体制」が問われるわけです。 しかし実際には、私たちが日々生活をしていく中でも危機管理能力は必要なものです。むしろ、それを適切に用いているからこそ、大きなトラブルなく日々を過ごせていると考えたほうがいいでしょう。毎日、平凡な日々を大過なく送っていると感じている皆さんは、実は意識せずに立派にご自身の「能力」を発揮していらっしゃるのです。 その能力とはどのようなものか。 私は、講義などでは「危機管理で失敗しないためには、“生存競争能力”が大切です」と説明するようにしています。 危機管理を成功させるには危機管理の理論や経験が必要ですが、それだけでは十分といえません。生存競争に関連する能力を発揮する必要があるのです。それは以下の八つです。 (1)共感力(他人の感情を理解できる能力) (2)通意力(他人と意思や情報を共有できる能力) (3)協働力(他人と協力して物事を進める能力) (4)親和力(苦手な相手とも適切な人間関係を構築する能力) (5)発動力(必要と思われる事柄に自ら進んで行動を起こす能力) (6)確動力(当たり前と思われていることを当たり前に行う能力) (7)論理力(物事を筋道立てて考えたり語ったりする能力) (8)創造力(斬新な発想で新しい物事を生み出す能力) 危機管理の理論を学び、仕事の面では優秀な方でも、生きていくうえで必要なこれらの能力が欠けていると、地雷を踏んでしまうことは珍しくありません(詳細は拙著『その対応では会社が傾く プロが教える危機管理教室』)。