小学生に拡がる“マイクラ”ブーム、その教育的効果とは
ではなぜ、こうしたイベントに親も熱心に参加し、教育の専門家までがマインクラフトに注目するのでしょか。 それは、この記事の冒頭で紹介したゲームの特徴である“自由にモノづくりを楽しめる空間”であることが大きなポイントになっているようです。このゲームには、ストーリーもなければ目的もなく、キャラクターも登場しません。普段スマートフォンゲームなどに夢中になっている大人が聞くと、“何が面白いのか”がわかりにくい側面もあるかもしれません。しかしマインクラフトは、この世界でどうやってモノを動かせば建物やアイテムが作りだせるのかを理解し、頭の中で想像した自分だけの“作りたいモノ”や“理想の世界”を試行錯誤しながら生み出し、友だちと話し合いながらこの世界での楽しみ方を創り出していくという創意工夫によって生み出されるゲームであり、こうした理解力や想像力、仲間との協調性を育むことができる点が、教育的な観点からも有効だと考えられているのです。 この点について、「Minecraft×Education 2015」を主催者でもある早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所の鷲崎弘宜氏は、「マインクラフトは、ルールがシンプルな中でだからこそ、子どもたちがその創造性をいかんなく発揮しているのではないかと思います。また、子ども同士の短い会話の中で意志疎通をして、自然と成長してモノづくりを成功させていくというのは、マインクラフトのような創造的なゲームだからこそできることだと感じています。イベントでは子どもたち80人ほどで建築に挑戦したのですが、精緻な設計図を大人が与えるのではなく、大まかなイメージだけを決めておいてあとは子どもたちに任せました。すると、子どもたちは自然と話し合って、『ここはこういう風に作ろう』『じゃあ、私はこれをこうする』と全体の調和ができていくのです。創造的な場でお互いを刺激しあうということはとても貴重で、小学校だけでなく、中学から大学でもこういう場を共有できればいいですね」とコメントしています。