半導体「CHIPS法」に米国で語られる「産業政策上の死角」
疑問符がつく雇用拡大、補助金は損失に見合うのか
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アメリカでは長年、半導体をめぐる問題が深刻さを増している。もともと半導体は1959年にアメリカ人によって発明され、その後何年にもわたりアメリカが半導体製造において世界トップを走っていた。ところが、日本やそれに続く韓国、台湾が、次第にアメリカの生産量を凌駕するようになった。半導体製造の 世界シェア を見ると、1990年にはアメリカ製が37%を占めていたが、今では12%にまで減少しており、さらに先端半導体については90%がアメリカ以外の国、ほとんどがアジアで製造されている。 新型コロナウイルス流行に伴う半導体の供給不足によって、アメリカが半導体を海外依存していることの危険性が浮き彫りとなり、なかでも大量の半導体を必要とする自動車の生産縮小につながった。また、 ライバルである中国 の“半導体分野の超大国を目指す”という野心を目の当たりにして、一連の供給不足によって、海外依存しているせいでアメリカは 戦略的な弱み を握られているのではないかという積年の論争に火がついた。 カリフォルニア大学バークレー校の名誉教授で国際経済に関するバークレー円卓会議の共同創設者ジョン・ザイスマンは、次のように指摘する。「この2年、ワシントンで明らかになったのは、アメリカが半導体産業で先導役となり、生産に必要な熟練技術者を確保すること、半導体チップの安定供給を実現し、脆弱性のある台湾やアジアの国々に依存しすぎないこと、そしてこの課題に対処するため、同盟国と一体となって努力することが必要だということだ」。
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ブルース・ストークス(Bruce Stokes)