卓抜した演技力が光る…ドラマ『マイダイアリー』で優しさを波及させる女優とは? 第7話考察&解説レビュー
毎週日曜夜10時より放送中のドラマ『マイダイアリー』。本作は、清原果耶が演じる、社会人になった主人公・恩村優希が、大学時代を振り返り、何気ない日常や仲間との繋がりをノスタルジックに紡いでいくヒューマンドラマ。さっそく、第7話のレビューをお届けする。(文・西田梨紗)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】清原果耶、吉川愛、見上愛が美しい… 貴重な未公開カットはこちら。ドラマ『マイダイアリー』劇中カット一覧
緑(中村ゆり)の人生が明らかに
『マイダイアリー』(ABCテレビ・テレビ朝日系列)7話では他者と関係をもつのは怖いけど、人とかかわることで生まれる優しさは連鎖することを教えられた気がする。優希(清原果耶)の隣に住む緑(中村ゆり)の正体や彼女の人生が少し明らかになった。 本放送では、優希の隣人である“トムさん”こと、緑の正体が明らかになった。緑についてはこれまでベールで包まれており、謎多き人物であった。彼女については、ひとりで暮らす優希を絶妙な距離で見守り、困っているときは優しく手を差し伸べる姉御肌の女性ということくらいしか分からなかった。 実は、緑は優希の母であるまいこと入院中に親しくしており、まいこから(優希が)もう大丈夫ってなるまで見守っていてほしいと頼まれていたのだ。 また今回、緑のこれまでの人生も少し明かされた。緑は腕に入れた虎のタトゥーのように威嚇して生きてきたようだ。
世界を生き抜くためのコツとしての孤独
「私は一人でいたいから一人なんだ かわいそうじゃない 同情すんなって そうしないと生きてこれなかったから」 まいこは緑の「威嚇したかった」という言葉が過去形であることに気づき、緑の本当の思いを感じ取った。そして、虎の足元にウンチを描き、小さいときに飼ってたしば犬がウンチをする姿に似ていると笑わせた。 緑のようにわざとひとりになることで自分を守ってきた人は少なくないと思う。この決断にいたるまでには、自分はひとりぼっちなんだという諦観を抱く機会や、人とのかかわりに期待できなくなった数々の苦悩があったと察せる。自分の弱さもさみしさも理解しているからこそ、ひとりでいたいと思ってしまうのだ。 自分の存在を認めてくれる人がいなかったとしても、“ひとりでいたいからひとりなんだ”と思うことで、自分はこの世界でひとりぼっちであること、だれにも興味をもってもらえていない現実から目を逸らせる。他者からひとりだって同情されないように、これ以上傷つかないために先回りしてひとりで威嚇するのは、この世界を生き抜くためのコツの1つなのかもしれない。 そうはいっても、自分自身の心を強固な鎧でおおっていると、その鎧の重さに疲れ果ててしまうことや、誰かのぬくもりにふれたくなることがある。自分から人を遠ざけているはずなのに、それでも他者の存在をまれに求めてしまう。 緑にとってまいことの時間がそうであったように、誰かの優しさに実際にふれてみると心から笑え、人と関係性を築くことは喜ばしいことでもあると恐怖心の中でも感じられることがある。