<城氏が語る>なぜハリルJは無得点に終わったのか。
また先のイラク戦では、ひとつのプレーが合図となって全員が連動して動き出していたが、この日は、3人目のプレーヤーの連動性というものが見られなかった。引いた相手を崩すための重要な手段は、実は、個の能力ではなく連動というキーワードである。 香川は、キレていたように見えた。香川が、最後までピッチに残っていれば、何かが起きたかもしれない。残念な交代だったと思うが、まだ、そこまでハリルホジッチ監督の信頼を得ていないという証拠だろう。 続いて26分には、柴崎に代えて原口を入れ、長谷部をワンボランチにして原口をトップ下に置いたが、その戦術的な選手交代も機能しなかった。まず原口にボールが入らなかった。ハリルホジッチ監督が求めた意図をチーム全体で理解をしていたのだろうか。 ワンタッチ、ツータッチのプレ ーからのスピードと、縦への意識がハリルホジッチ監督がチームに求めていたものだったが、そのハリルイズムも、ほとんど姿を消してしまっていた。本田もそうだが、チーム全体にコンディションを落としていたようにも見えた。今後も、相手が引いて守備を固めてくることを想定すると、先行きに不安の残る引き分けスタートとなったが、開幕戦だったことが、まだ救いだ。課題が明らかになったのだから十分にある時間の中で立ち直るための手段を探せばいいだけの話。もう一度書くが、チームの課題は、「冷静さ」、「判断力」、「連携」の3つである。 (文責・城彰二/元日本代表FW)