キオクシアの公開価格1455円、仮条件の中央で決定-時価総額7840億円
(ブルームバーグ): キオクシアホールディングスは9日、新規株式公開(IPO)の公開価格を1株1455円と決めた。仮条件(1390-1520円)の中央の価格で決まった。
同日提出した訂正有価証券報告書で明らかにした。機関投資家などを中心に需要を積み上げるブックビルディング(需要申告)を実施。公開株式数を上回る総需要があったなどとして、現在のマーケット環境なども踏まえて価格を決定した。
18日に東京証券取引所プライム市場に上場する。上場時の公開価格に基づく想定時価総額は約7840億円となる。市場からの資金吸収額は約1200億円となり、ブルームバーグのデータによると今年3番目の規模となる。
キオクシアはNAND型フラッシュメモリーの専業メーカー。データセンターやパソコン、スマートフォン向けメモリーを生産する。需要状況によっては、公開価格を1112円以上から1824円以下の範囲で決める可能性もあるとしていたが、仮条件の範囲内に収まった。
東京海上アセットマネジメントの若山哲志シニアファンドマネジャーは、公開価格が仮条件の中央で決まったことについて「NANDの市況回復が鈍く、弱いことが影響したのだろう」と指摘。「想定内と言えば想定内。驚きはなく受け止めた」との見方を示した。
ブルームバーグ・インテリジェンスの若杉政寛シニアアナリストは、2025年のNAND型フラッシュメモリー市場は、業界各社の利益率重視戦略で大きな値崩れは起こりにくいと予測。キオクシアは最先端NANDの技術開発に注力し、サーバー向けに出荷を拡大させる戦略で、25年の売上高はプラス成長が可能とみている。
ブルームバーグのデータによると、24年の国内IPO総額(見込み含む)は約9300億円と、通信大手ソフトバンクが上場した18年の3兆円以来の高水準。日本株が過去最高値を更新する中、東京地下鉄(東京メトロ)やリガク・ホールディングス、タイミーといった大型上場があった。
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Yasutaka Tamura, Eddy Duan