【サンデーLIVE!!特集】”人口減少で地球から最初に消滅する国” 出生率0.72の韓国は日本の未来?
韓国では、自分の幸福を追求する「ミーイズム」と呼ばれる傾向が広がっていることも背景にあると言います。 さらに、韓国には「結婚時に男性側が住宅を用意する」という儒教的な慣習も残っていて、ソウル市内では不動産価格の高騰も相まって、「家が買えないから結婚をしない人も増えている」と話す人が多かったことも印象的でした。
韓国の悲劇は日本の未来?専門家は…
韓国経済と社会に詳しい亜細亜大学の金明中(キムミョンジュン)特任准教授は、出生率を改善するためには、従来の経済支援と競争社会の見直しのほか、男女間の意識改革が重要だと話します。 「国の経済的な支援というのが 『子育て世代に偏っている』。これは日本も韓国も同じ。ただ(この世代への)経済的な支援だけでは大きな効果を得ることは難しい。日本も韓国も『性別役割分担意識』が残っている。これも少子化にかなりマイナスの影響を与えている。この部分をだんだん意識改革する。改善する必要がある。」
《取材後記》 少子化に歯止めがかからないと言われて久しい日本。それでも、私はこの国で日々生活をしていて、「少子化」を肌で感じることはこれまでほとんどなかったように思います。 一方でお隣・韓国を取材すると、少子化が街のあちらこちらで“表面化”していました。出生率「0.72」の衝撃はあらゆる分野に影響を与え、これほどまでに街の光景を変えてしまうのだと感じました。韓国でこれほどまで急速に少子化が進行しているのには、一言では結論付けできないほど複雑に絡み合った背景がありますが、「学歴社会」「性別役割分担意識」など日本と重なる背景も大いにあると感じます。韓国政府はこれまで少子化対策として「金銭的な支援」を続けてきましたが、実際に若者に話を聞くと、金銭的な支援以上にこの「社会構造自体の変革」を求める声が多かったことも印象的でした。「お金があっても、結局この競争が激しく、生きづらい社会からは抜け出せないのです」と。これは決して日本も他人ごとではないと感じます。 韓国の悲劇を日本の未来としないために、韓国の反省から学び、当事者らの思いを的確に捉えた対策が求められます。 取材= 瀧尾春紀(ABCテレビ記者)