千葉ロッテ、岡田の入団以来本塁打ゼロの珍記録を支えたものとは?
育成ドラフト6位から這い上がってきた岡田が、それでも、この世界で生き残っている理由は、50メートルを5秒台で走る俊足を生かした走塁と、出塁率、そして2年連続ゴールデングラブ賞を受賞した守備力だ。この日のゲームでも、惜しくもヒットになったが、2回に市川のセンター前への打球に思い切ったチャージとダイビングキャッチを仕掛けてアウトにしかけたし、6回一死一塁から大引のセンターフェンス直撃の大飛球にも、あと数センチで捕れるというタイミングでジャンピングを試みた。結果、三塁打にしてしまい、その勝ち越しの走者を生還させてしまったので賛否のあるプレーだろうが、「感性で“いける”と思ったら勝負します」が岡田の哲学。確信のある勝負だったのだろう。 昨年はチームキャプテン。不振の選手に声をかけるなど気配りの人である。奇しくも、この日の先発、唐川がしばらく白星から遠ざかっていたときも、自分の若い頃の苦労話を話しながら「気持ちを切り替えろ。自信を持て!」と檄をかけ続けてきた。 「僕も先輩方に、そうしてもらってきました。2010年に初めて1軍に上がらせてもらってから里崎さん、サブローさん、福浦さん、井口さん、今江さん……いろんなアドバイスをもらいました。そうやって先輩に支えてもらいながらプロでやってこれたんです。ホームランがなくても、できている理由のひとつは、そういう周囲の人の支えです」。 年上女房と3人の可愛いお子さんを栃木の残したままの単身生活。奥さんは、今なお市役所勤めを続けている珍しい共働きのプロ野球選手でもある。「記録のことは女房にも言っていなかったし知らなかったんじゃないですか?」。岡田は、そう言って恐縮した。 ちなみに、岡田の更新した記録は、入団以来の本塁打ゼロの記録で、本塁打ゼロの連続打席の日本記録となると、岡田が子供の頃に憧れた、元阪神の赤星憲広氏が持つ2528打席(赤星は引退までに通算3本塁打を記録)である。以前、その記録のことを聞くと、「うーん、ホームランは狙っていないし、それは打てそうにないですから(笑)。第一(表彰もなく)狙う記録ではないですからね」と笑っていた。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)