千葉ロッテ、岡田の入団以来本塁打ゼロの珍記録を支えたものとは?
それは珍記録の達成にふさわしいヒットと死球だった。 千葉ロッテの岡田幸文外野手(29)は31日、QVCマリンフィールドで行われた北海道日ハム戦で「1番・センター」でスタメン出場。4打席立ったことで、入団以来の通算打席が1773打席となり、1リーグ時代の1936年から47年まで東京セネタース(のちの東急フライヤーズ)でプレーした横沢七郎氏の持っていた入団以来1770打席本塁打ゼロの記録を更新した。通算1769打席本塁打がなく、その記録にリーチをかけたまま、この試合に臨んだ岡田は、記録に並ぶ一回の第1打席に、先発の斎藤佑樹のストレートを捉えて、低い弾道の鮮やかなセンター前ヒット。記録更新となる第2打席は、右太腿に死球を受けた。 「ああいうヒットをいつも心がけているんです。ホームランはヒットの延長、低く強い打球をピッチャーの足元に返すことでプレッシャーをかけていきたい。1打席、1打席、いかに塁に出るかということだけを考えているので、死球による出塁にしても、らしいと言えば、らしい打席になりました」。 チームは、斎藤佑樹に2年ぶりの白星をプレゼントして、5位に転落した。そういう中で地味な記録がクローズアップされるのに照れもあるのだろう。報道陣からの取材リクエストを受けて試合後、ロッカー前に出てきた岡田は、右足をアイシングしながら、淡々と記録について語った。「わざわざ人に伝えるような記録ではないですが、ホームランが打てないのに、こうやってプロの世界でやれているということが、そういう子供たちに夢を与えることになればいいとは思っているんです」。 最後に打った本塁打は社会人の全足利クラブでプレーしていた頃の都市対抗の予選での1本。それも狭い栃木の鹿沼市運動公園野球場のライトポールぎりぎり、最前列に飛び込む最短アーチで、コールド勝ちのゲームで価値あるホームランではなかったという。小、中学時代から打順で言えば、1、2、9番が定位置。作新学院高校時代も練習試合で1本打っただけ。プロに入ってからは、“あわや”の本塁打性の打球はなくもないが、フリー打撃でもほとんど柵越えをすることはない。