異常気象が新型コレラ株の拡散を誘発する可能性、研究結果
今後の病原菌の新株発生に対する警告を発することも可能になるはずだ
その結果、1904年から1907年にかけてのコレラによる死者の増加パターンが、季節ごとの温度および降水量の特異なパターンと時期的に連動していることが判明した。この変動パターンは、エルニーニョ現象によるものである可能性があるという。同時に、このパンデミックのさなかに、コレラ菌新株の発生が認められた。 ロドと論文共著者メルセデス・パスクアルは、プレスリリースで以下のように説明している。 「気象条件の変動、もしくは病原菌の進化による変異は、伝染病の大規模な流行やパンデミックの重要な要因だ。しかし、これら2つの要因は、異例なまでに規模の大きなアウトブレイク(感染症の突発的大量発生)の発生過程を説明しようとする(過去の)研究では、別々の要因として検討されることが多かった。【略】この論文において我々は、これら2つの要因が連動して働き、相乗作用によって、病原菌の新株の確立および広範な拡大を引き起こしているという間接的なエビデンスを提示している」 「(新株の発生が)検知されてから、感染拡大が既存株を上回るまでにタイムラグがある可能性も判明した。これは、気象条件のもたらす影響が、発生時期を超えて長期におよぶ可能性を示唆している。コレラの場合は、バングラデシュ全域でモンスーンによる降雨分布がより頻繁になると、(病原菌の)伝播と(新株の)発生がより頻繁に起きやすいことが示唆される」と、研究チームは論文で説明している。 「病原菌の遺伝子変異を監視する能力の向上が、気候モデリングや予測を含む気象学の視点からの感染症研究の進展と組み合わされることで、今後の(病原菌の新株)発生に対する警告を発することも可能になるはずだ」と論文には記されている。
Anuradha Varanasi