ICEと同等のコストで新型EV開発を目指す!価値・競争力・収益性を向上させる経営計画「The Arc」を、日産が発表。新型車の姿も見えてきた
主要な市場への取り組み方
主要市場では、以下のように取り組む。 ■アメリカズ ・地域全体の販売台数を2023年度比で33万台増加させ、米国では統合型カスタマーエクスペリエンスに2億米ドルを投資 ・米国とカナダで7車種の新型車を投入 ・米国で乗用車モデルラインアップの78%を刷新し(日産ブランド)、e-POWERとプラグインハイブリッドを搭載したモデルを投入 ■中国 ・日産ブランド車のラインナップの73%を刷新し、新エネルギー車(NEV)8車種を投入(4車種の日産ブランド車を含む) ・販売台数を20万台増加し、2026年に年間販売台数100万台を目指す ・2025年から輸出を開始。第一段階として10万台レベルを目指す ・継続して合弁パートナーと生産能力を最適化 ■日本 ・乗用車モデル ラインナップの80%を刷新し、5車種の新型車を投入 ・電動車のモデルミックスを70%へ向上(乗用車) ・販売台数を2023年度比で9万台増加させ、2026年度に年間60万台の販売を目指す ■アフリカ、中東、インド、欧州、オセアニア ・地域全体で販売台数を2023年度比で30万台増加 ・欧州:6車種の新型車を投入。EVの販売構成比を40%へ向上(乗用車) ・中東:5車種の新型SUVを投入 ・インド:3車種の新型車を投入。10万台レベルの輸出を目指す ・オセアニア:1トン ピックアップとCセグメントクロスオーバーEVを投入 ・アフリカ:2車種の新型SUVを投入。AセグメントのICE車を拡大
EVの競争力をアップ。新技術も進化させる
新型車投入のため、新たなアプローチで、手頃な価格で収益性の高いEVを実現していく。複数のEVのファミリー開発、パワートレーンの一体化、次世代モジュラー生産、グループソーシング、バッテリーの革新などにより次世代EVのコストを30%削減(現行アリア比)し、2030年度までにEVでICE車と同等のコストを実現することを目指す。 また、ファミリー開発では、メインモデルをベースに開発する後続モデルの開発費を50%、トリム部品のバリエーションを70%削減し、開発期間を4カ月間短縮する。また、次世代モジュラー生産方式を採用することで、車両生産ラインを短縮し、台当たりの生産時間を20%短縮する。 新技術では、知能化技術もさらに進化させ、高速道路から一般道、敷地内、最終目的地までドアツードアの自動運転技術を実現する次世代プロパイロットを投入する予定。また、さまざまなユーザーのニーズに対応する多様なEVを提供するため、NCMリチウムイオンバッテリーを進化させ、LFPバッテリーと全固体電池を投入し、多様なバッテリーをラインナップする。 NCMリチウムイオンバッテリーでは、アリア比で急速充電時間を50%削減し、エネルギー密度は50%向上させる。国内で開発、生産するLFPバッテリーはサクラ比でコストを30%削減。これらの進化したNCMリチウムイオンバッテリー、LFPバッテリー、全固体電池を搭載したEVは、2028年度に投入する予定だ。 さらに、競争力を維持し、グローバルな商品ポートフォリオや技術を提供するために、戦略的にパートナーシップを活用する。欧州、ラテンアメリカ、ASEAN、インドにおいては、ルノーおよび三菱とのアライアンスを引き続き活用。また、中国の現地資産をフルに活用し、中国とその他の国々のニーズを満たしていく。日本と米国においては、新たなパートナーシップを模索する。バッテリーはパートナーとともに開発・調達し、グローバルで135GWhの生産能力を確保する。 財務面においては、財務規律を徹底しながら、研究開発費と設備投資額を総売上高の7%から8%の範囲に維持し、バッテリー設備へは4000億円以上を投資することを計画している。また、電動化への投資は段階的に増加し、2026年度までに全体の70%以上を占めるようになる。 これらの投資を適切に管理することで、日産はすべてのステークホルダーに価値を提供していく。電動化への投資を行った後も、M&A実行前フリーキャッシュフローはポジティブを維持し、株主総還元率を30%以上確保することを目指す。また、ネットキャッシュは1兆円レベルと健全な水準を維持することを目指している。 公開されたイメージ動画では、今後投入予定の30車種(と思われる)が走行するシーンが披露された。コンパクトカー、SUV、ミニバンなど、さまざまなボディタイプのクルマが登場する。 いずれの市場向けも具体的なモデル名は発表されていないが、おそらくはマーチ、エルグランド、スカイラインなどの新型が登場すると予想される。それらがEVになるのかICE車になるのかは分からないが、その登場を楽しみにさせてくれる動画だった。
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