【年金】6月支給分から増額も、実質的には目減り?「年金振込通知書」でチェックしたい項目をおさらい
2024年度「年金額モデル」厚生年金・国民年金は6月支給分から増額
2024年度の年金額は、物価高などの影響を受けて2.7%増額されることが決まりました。 厚生労働省は、2024年度の年金額モデルとして以下金額を統計内で公表しています。 ●国民年金(老齢基礎年金) ・6万7808円:1人分(昭和31年4月2日以後生まれの方の場合は月額6万8000円) ●厚生年金(老齢厚生年金) ・23万483円:夫婦2人分 ※1 ※1 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で40年間就業した場合に受給できる年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準 結果的に2023年度、2024年度と連続で増額改定された年金額モデル。シニア世帯にとって嬉しい改定に思えます。 ちなみに増額改定された2024年度分の支給開始は、次回の6月14日(金)からです。 ただし、冒頭で確認したとおり物価上昇率は「3.0%」。それでも、2.7%の増額にとどまったのはマクロ経済スライドによる制度維持のための調整(▲0.4%)が入った結果です。 これらは単なる数値で詳細に比較しきれませんが、実質的な目減りといわれるのはこうした数値変動が影響しています。 さらに、上記は額面での年金額。天引きされるお金があるため注意が必要といえるでしょう。 天引きされた結果の手取り額は「年金振込通知書」等で確認してみてください。 次の章からは、6月に送付される「年金振込通知書」で確認したい項目を紹介します。
6月送付「年金振込通知書」でわかる手取り額:チェックしたい7項目
通常6月頃に送付される「年金振込通知書」に記載されているのは、1年間の年金額だけでありません。 その他にも天引きされるお金や年金の手取り額目安などをチェックできます。 ●(1)年金支払額 一度の年金支給日に、支払われる年金額(控除前)が記載されます。 6月から翌年4月(2カ月に1回)まで毎回支払われる金額が記載されます。 なお、この金額は月額ではなく「2ヶ月分」であることに注意が必要です。 ●(2)介護保険料額(※) 介護保険料とは、公的介護保険制度に加入する方に支払い義務のある社会保険料です。 年金から特別徴収(天引き)される介護保険料額が記載されています。 ちなみに年金が18万円以上の場合、介護保険料は年金から天引きされます。 ●(3)後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)(※) 年金から天引きされる後期高齢者医療保険料または国民健康保険料(税)の金額が記載されています。 ただし、天引きでなく普通徴収(納付書や口座振替)で納めるために記載がない方もいます。 ●(4)所得税額および復興特別所得税額 公的年金は「雑所得」扱いとされ、65歳未満なら108万円、65歳以上なら158万円を超えると課税されます。 さらに所得税に併せて、復興特別所得税もかかります。なお、遺族年金や障害年金は非課税です。 ●(5)個人住民税額(※) 年金から特別徴収(天引き)される個人住民税が記載されます。前年の年金所得にかかる分が計算対象です。 また、所得税と同様に障害年金や遺族年金を受給する場合は非課税となり、支払い義務は発生しません。 ●(6)控除後振込額 年金額から特別徴収(天引き)される各種社会保険料、所得税額および復興特別所得税額、個人住民税額を差し引いた後の振込金額が記載されます。 これが、いわゆる「手取り金額」の年金。見落とさずチェックしましょう。 ●(7)(公的年金の)振込先 年金が振り込まれる金融機関の支店名が表示されます。 多くの口座を所有していたり、年金請求から日が経っていたりする場合、どの金融機関に届け出たか忘れてしまう可能性があるかもしれません。 自分のイメージ通りの振込先が記載されているか、きちんとチェックしておくとよいでしょう。 ただし上記の項目横に(※)がつけられた項目は、8月以降の予定額として記載されます。 8月以降に金額が再計算されて変更となる可能性があるため注意が必要です。詳しくは、市区町村から送付される通知書でご確認ください。 それでは、天引きされる前の年金の額面はいくらでしょうか。次の章から、国民年金・厚生年金の平均受給額とボリュームゾーンを確認します。