【高校ラグビー開幕】『京都工学院』伝統の"赤黒ジャージ"が躍動...広川主将「自分を信じて、仲間を信じる」 『秋田工業』名門の底力をみせて大熱戦を制す 『佐賀工業』モール攻撃で松山聖陵を振り切る
第104回全国高校ラグビー大会が開幕。開会式では、参加51校の選手たちが高校ラガーマンあこがれの聖地・花園ラグビー場の芝生を踏みしめました。徳島・城東高校の小野晏瑚主将の「参加選手全員が一つになり、この世界に夢と希望を与えたい。そんな願いをラグビーで体現します」という力強い選手宣誓とともに始まった今大会。第1日は、開会式直後の第1試合から手に汗握る大熱戦となりました。
<秋田工業vs高川学園>「1対1で勝つ」にこだわり伝統校が大接戦を競り勝つ
第3グラウンド第1試合は、初出場の昨年度に続き2回目の花園となる高川学園(山口)と名門・秋田工業(秋田)の対戦。強風の中始まったこの試合、序盤は風上の秋田工業が落ち着いた試合運びで主導権を握ります。風上を上手く利用して敵陣で試合を進めると、開始2分に先制のトライ。その後も一人ひとりが決定力の高さを発揮して、13分までに3つのトライで21対0とリードします。 一方、「点数は取られているが、全然実力差はない。しっかり逆転はできる」とフィールド内で話していたという高川学園。この後、焦らず反撃します。15分にラインアウトから鮮やかなサインプレーを決めて1トライを返すと、再び21点差とされた28分、SO林香凜選手のディフェンスラインの裏へのキックに素早く反応したBK陣がインゴールでボールを押さえてトライ。さらに前半ロスタイムに突入したラスト1プレーでは、ミスなくボールをつないで秋田工業のゴールラインに迫ると、最後はWTB山下仁大選手が切れ味鋭いステップをみせて左隅にトライ。鍛え上げられた攻撃と個々のスキルレベルの高さをみせつけて、28対17と11点差に詰め寄って前半を終了します。 後半に入っても高川学園の勢いは止まりません。風上の後半、今度はキックを上手く使って敵陣深くまで攻め込みます。そして後半8分、FW陣の執拗な連続攻撃からCTB大嶋惺楽選手が縦への力強い突破をみせて中央にトライ。ゴールも決めて28対24で、ついに4点差に迫ります。 ここからは、両チームの意地とプライドのぶつかり合い。全国優勝15回の誇りにかけて、負けられない秋田工業は、この後、果敢にボールをつないで高川学園陣内まで攻め込みます。しかし、高川学園も集中力高いディフェンスで対応し、12分、一瞬のスキをついて相手ボールを奪うと、WTB山下選手が抜群のスピードをみせて、50m以上を1人で走り切ってトライ。ついに29対28と逆転します。「去年はメンバーには選ばれたが、1回戦・2回戦とも出場機会がなかったので、今年はスタメンでフィールドに立てて本当にうれしかった」と語った山下選手が大舞台で躍動しました。 しかし、さすがは数々の修羅場を経験してきた名門・秋田工業。ここから伝統校の底力を発揮します。三浦颯太主将が「自分たちは、1対1で勝つことにこだわって練習を積み重ねてきた。逆転はされたが、1対1で勝つことから試合の流れを引き戻そうとみんなには話をしていた」と振り返ったとおり、一人ひとりが的確なタックルで高川学園の攻撃を寸断すると、風下の不利な条件の中でもしっかりと体を当てて前に出て、じわじわと前進していきます。 そして後半の17分、FW陣が縦をついてできた高川学園ディフェンスのギャップをすり抜け、WTB川瀬雄介選手が再逆転のトライ。ゴールも決めて35対29と再び6点のリードを奪いました。このトライで試合の流れを引き戻した秋田工業は、その後、最後まで高川学園に主導権を渡しませんでした。残り時間が少なくなる中、ボールをつないで攻めようとする高川学園に対して、ディフェンスでも前に出てエリアをおし進めると、絶対的な自信を持つモールで攻め込みながら時間を使っていきます。最後は高川学園のゴールライン近くまで攻め込んだところで、冷静にボールをけりだしてノーサイド。開会式直後の第1試合は、大熱戦の末、秋田工業が伝統校の底力を発揮して新鋭の高川学園に競り勝ちました。