中央学院「クッキング部長」の颯佐心汰が二刀流で活躍 センバツ
◇センバツ高校野球2回戦(27日、甲子園) ○中央学院(千葉)7―6宇治山田商(三重)● 【写真で振り返る】宇治山田商-中央学院(2回戦) 打っては2安打1打点、投げては六回途中から救援して被安打2の2失点。中央学院の「二刀流」、颯佐(さっさ)心汰が投打で奔走した。 二回に先制のホームを踏むと、1―0の三回2死一、二塁からは高めの直球をおっつけて、右前適時打を放った。 投手としては六回裏2死一塁、最大7点差を3点差に迫られたところで、出番が来た。「4点差になったら継投で登板」と相馬幸樹監督に言われていたため、心の準備はしていた。ベンチに一度戻って水分を取り、息を整えると、先発の臼井夕馬に「あとは任せろ」と伝えてマウンドへ向かった。捕邪飛に打ち取ると、次の七回は3者凡退。「万全な状態ではないが、いい流れに乗れた」――はずだった。 だが、ここからが苦しかった。八回に暴投と重盗で気づけば1点差に迫られた。打線の援護はなく、宇治山田商の三塁側アルプス席から聞こえる声援は大きくなる一方だった。 「めちゃくちゃ苦しかったです。颯佐を信じるしかなかった」と捕手・飯山成夢。だが、九回2死二塁、一打同点の危機でも颯佐は落ち着いていた。「負けたくない気持ちをボールにぶつけて、思い切り腕を振るだけ」。気合十分の粘投で最後の打者を中飛に仕留め、相手の猛追を振り切った。 颯佐は勝ち気な性格で、ここ一番の勝負強さを持つ。野球部内に「部活」を作って活動するユニークな「部内部活」では、父親が千葉県印西市でラーメン屋を経営していることから「クッキング部」に所属。相馬監督から5人の部員を束ねる「部長」に任命された。「得意料理はチャーハン。納豆を入れるとおいしいんですよ」。投打だけでない「三刀流」を担う。 チームは春夏通じて初のベスト8進出を決めた。「勝つために任された役割を果たすだけ」。次戦もフル回転する覚悟だ。【磯貝映奈】