【米国株ウォッチ】インテルは成功の分水嶺に立つ、株価3倍達成に必要な条件
インテル株(ティッカーシンボル:INTC)は米国時間9月12現在、約19ドルで取引されている。今後数年で、この株価が3倍以上に上昇する可能性はあるのだろうか? これは少しばかげた話に聞こえるだろうか? インテル株は約3年前まで約60ドルの水準で取引されていた。インテルは、厳しいPC市場、AMDに奪われたPCとサーバー分野でのシェア、製造プロセスにおける重大な問題、そしてAI時代におけるCPUからGPUへの移行など、複数の問題に悩まされてきた。しかし、業績回復の兆しはある。 本稿では、インテルの株価が3年前につけた60ドルの水準に戻れるかどうかを左右するいくつかのシナリオを概説し、売上高、純利益率、PER(株価収益率)という3つの主要指標について検討する。 ■直近の株価の動き 過去3年間をみると、インテルの株価の変動はS&P500種株価指数よりもかなり大きい。インテル株のリターンは、2021年に6%、2022年にマイナス47%、2023年に95%だった。 ■収益好転のきっかけになり得る3つの好機 インテルの収益はこの数年でかなり減少している。インテルの年間収益は2021年の790億ドル(約11兆1500億円)から2023年には540億ドル(約7兆6200億円)に減少し、今年はさらにそこから約3.5%減少すると予想されている。市場の予想では、2024年におけるインテルの年間収益は約520億ドル(約7兆3400億円)との予測だ。もし同社が事業を好転させることができ、今年わずかに収益が減少した後、今後2年間で毎年約12%ずつ収益を増加させることができれば、収益は2026年までに約650億ドル(約9兆1700億円)となる。2023年から2026年の間におよそ1.23倍に成長する計算だ。 では、それを達成するためにインテルはどうすれば良いのだろうか? ・その1:3ナノメートル半導体 PCやサーバー市場ではライバルのAMDに押され気味のインテル製CPUだが、今後投入予定の同社の新型チップには期待できそうだ。ラップトップや超小型デバイス向けに設計されたインテルの新チップであるLunar Lakeと、デスクトップ向けのArrow Lakeは、台湾の半導体ファウンドリーであるTSMCがもつ、3ナノメートルの半導体製造技術によって製造される。これにより、4ナノメートルの半導体をもつAMDをリードできる可能性がある。 また、Sierra ForestやGranite Rapidsといったインテルの最新サーバー用チップも、同社による新しい3ナノメートルのプロセスノードであるIntel 3を使用しており、この分野でもAMDとより有利に競争できるはずだ。PC市場全体の回復と、こうした製品群の強化が相まって、インテルの収益が好転する可能性はありそうだ。