1人の選手で「日本人の評価は激変」 欧州組急増のキッカケ…代表OBが挙げる“革命児”の存在【インタビュー】
【専門家の目|大津祐樹】日本人選手の渡欧急増の背景を考察
今や日本人選手が欧州でプレーすることに違和感を覚える人物は誰1人としていないだろう。むしろ、日本代表に定着するうえで、1つのノルマになりつつある。一方で、Jリーグで活躍していたひと昔前の代表メンバーが海外挑戦に及ばなかったかといえば、そうではない。日本人選手の渡欧が急増した背景には、欧州市場における評価の“革命”があった。では“革命児”は誰か? 元日本代表FW大津祐樹は、栄光の背番号「10」の名を挙げた。(取材・文=城福達也) 【動画】「泣きそう」「グッとくる」 香川真司の“サプライズ登場”にロイスが大喜びの瞬間 ◇ ◇ ◇ 現在、80人以上の日本人選手が欧州リーグで戦っている。マンチェスター・シティやFCバルセロナといった世界最高峰のビッグクラブを相手に日本人選手がインパクトを残すのは、ひと昔前では一大事件の扱いだったが、現在に至ってはそれほど驚くことがなくなった方々も多いのではないだろうか。それほど、日本人選手は欧州の舞台に溶け込みつつある。とりわけここ10年間ほどで、欧州クラブにおける日本人選手の評価に変動が起こった印象だ。 「1番は海外のマーケットで価値がついたこと。日本市場よりも欧州市場のほうが金額面で上回るようになってきた。僕らの世代の代表メンバーは、日本よりも欧州のほうがマーケットプライスが低かったから移籍しないという部分が大きかった。当時はJリーグで活躍すれば代表の主力になれることもあった。代表に選ばれるというのはステータスになる。海外に挑戦しなくても代表で戦えて、海外よりも日本でプレーするほうが年収が高かった。海外に挑戦する=年収を落とす、というのがベースになっていた」 大津氏が日本代表に初選出されたのは2013年。当時はオランダ1部VVVフェンロに在籍していた。すでに代表メンバーには、本田圭佑、長谷部誠、岡崎慎司を筆頭に、華々しい海外組が顔を揃えていた。当時から欧州でプレーする選手たちが主力を張っていた一方、Jリーグ組もレギュラーとして活躍していた。しかし、現在の代表は主力全員が海外組。ただ、欧州クラブに在籍しているだけでは事足りず、戦力として結果を残してる者だけが招集されるハードルの高さにまで到達した。日本サッカーにとってまさに変革の時代だ。 「15年くらい前までは、日本人は海外でプライスがついていなかったから、若い選手しか海外で挑戦しなかった。でも、その若い選手たちの何人かが海外で活躍できて結果を残し始め、その選手たちがベテランになり、代表を引っ張る存在となる。彼らを模範に若い選手たちの多くが海外に挑戦するようになる。そうなると、若手ではない選手たちも、代表に選ばれるために海外で挑戦するマインドになる。今の日本代表には、そういった循環が生まれている」