尿トラブルで一番多いのは、せきやくしゃみで漏れる「腹圧性尿失禁」。40代以上の女性の約44%が尿のトラブルに悩みが
加齢とともに、尿トラブルに悩む女性は増えるもの。デリケートな問題だけに、相談しづらいという声も……。そこで、自分でできる対処法をアドバイスします(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》) * * * * * * * ◆尿トラブルで一番多いのは「腹圧性尿失禁」 芸術、旅行、スポーツの秋です。おでかけやレジャーを楽しみたくても、尿もれや頻尿が心配では、思う存分満喫できません。 「実は、40代以上の女性の約44%が尿もれや頻尿に悩まされているというデータがあります。そのくらい、年齢とともに尿トラブルを抱えるようになるのは、ごく自然なこと。ですから、50代以上なら多少の尿もれは当たり前と気楽に考えることから始めましょう」と話すのは、名鉄病院の加藤久美子先生です。さらに、次のように続けます。 「尿トラブルは、生活の見直しやセルフケアである程度予防・改善が可能。尿トラブルには大きく分けて二つのタイプがあり、対策が異なるため、まずは自分がどのタイプか知ることが大切です」(加藤先生。以下同) 一番多いのが、せきやくしゃみ、重い荷物を持つ、走るなどでお腹に力がかかった際に尿がもれる「腹圧性尿失禁」。いわゆる「尿もれ」です。
◆膀胱が意思とは関係なく縮む「過活動膀胱」 「尿をためる膀胱と尿の出口である尿道を、風船に見立ててみましょう。尿もれは、風船の出口の締め具合が弱くなり、ふくらんだ風船をぐっと押すと、すぐに空気がもれてしまうイメージです」 原因は、骨盤底筋と尿道括約筋の衰えにあるといいます。 「そもそも女性の骨盤底筋は、尿道と膣、肛門の3つの出口をつないでいる筋肉で、構造的に弱い。そのうえ、妊娠・出産や加齢によって筋肉がゆるむため、尿道をうまく締めることができなくなってしまうのです。そんな状態で腹圧がかかると、尿道が簡単に締まらず、もれてしまうわけです」 尿トラブルのもう一つのタイプは、膀胱が意思とは関係なく縮んでしまう「過活動膀胱」です。 「こちらも風船で想像してみましょう。本来はある程度風船がふくらんだときに尿意を覚えるものなのですが、さほど大きくなっていないのに勝手に縮んでしまうという現象が起きているのです。加齢のほか、糖尿病や喫煙、運動不足などで膀胱の血流が低下すると、コントロールが利かなくなってしまうのが原因。突然、がまんできないほどの強い尿意に襲われて、何度もトイレに行くようになる、いわゆる『頻尿』は過活動膀胱が大きな原因の一つです」
加藤久美子