「殴らせろ」…嫁いでゆく娘を見送る父親の心情とは?エモすぎる昭和の結婚ソングたち
嫁いでゆく娘に対し、昭和の父親たちはどんな感情を抱いていたのでしょうか? 父親に負けず劣らず兄弟たちも……? エモーショナルすぎる昭和の結婚ソングについて、シンガーソングライター・音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライター・TikTokerの橋本菜津美が紹介します。 現代にも通じる山口百恵や沢田研二の魅力とは 「ネオ昭和」のカリスマ女子が語る ※ラジオ関西『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』2024年9月6日放送回より 【中将タカノリ(以下「中将」)】 近年、結婚する人が減少の一途をたどっているようです。厚生労働省のデータによると「45~49歳」と「50~54歳」の未婚率の平均値から算した生涯未婚率は2020年で男性28.25%、女性が17.81%。1985年頃までは男女とも5%にも満たなかったので、昭和と令和のライフスタイルの変化が見て取れますね。 【橋本菜津美(以下「橋本」)】 たしかに昭和って結婚をテーマにした楽曲も多いですよね。母は山口百恵さんの『秋桜』(1977)が大好きで、「なっちゃんが結婚するときはこの曲を聴きたい」と言われ続けて、もう31歳になってしまいました(笑)。 【中将】 果たして聴くことができるのか……(笑)ですが、今回はそんな結婚に関する昭和の名曲をご紹介したいと思います。しかも父親や兄弟目線の! もし今後、菜津美ちゃんが結婚することがあれば、お父さんに歌ってもらうといいかもしれません。 さて、1曲目は芦屋雁之助さんで『娘よ』(1984)。「嫁に行く日が来なけりゃいいと」という歌い出しのフレーズは有名ですね。 【橋本】 「今日のお前ほんまにきれいや なあ母さん」と語りもしみじみして泣ける曲ですね。でもこれを自分の結婚披露宴で歌われるのは嫌かも(笑)。 【中将】 お父さん、体型が雁之助さんに似てるんで、似合うと思うんですけどね(笑)。 【橋本】 うちでは”裸の大将”って呼んでます(笑)。 【中将】 お父さんが裸の大将のコスプレでゴンドラから降りてきながら歌う姿を思い浮かべてしまいました(笑)。お父さんとは結婚について話することありますか? 【橋本】 結婚して欲しくないって言われますね。でも将来のことを考えると結婚して欲しいんだろうなと思うときも……。 【中将】 見たいけど見たくない花嫁姿……微妙な親心ですよね。お次に紹介するのはお兄ちゃんの立場から嫁ぐ妹とお父さんを描写した曲です。さだまさしさんで『親父の一番長い日』(1979)。 【橋本】 番組では冒頭しかお届けできませんでしたが全編12分30秒! これだけ歌詞のページをスクロールしたのは初めてです(笑)。 【中将】 妹の誕生から結婚までのロングストーリーなんです(笑)。これは実際のさださんのご実家のエピソードをモデルにして作られたということですが、結婚の挨拶に来たお婿さんに向かって「わかった娘はくれてやる そのかわり一度でいい うばって行く君を殴らせろ」というシーンは有名ですね。 【橋本】 え! 殴っちゃうの!? それだけ熱く娘のことを思っていることなんでしょうか……。私にも兄(※芸人の橋本大祐)がいますが、あいつには絶対こんな描写はできないでしょうね。 【中将】 (笑)。お次は兄が嫁ぐ妹について歌った曲です。かぐや姫で『妹』(1974)。 【橋本】 ラストが「どうしてもだめだったらかえっておいで妹よ」……素敵な歌ですけど、このお兄ちゃん、そうとう妹大好き星人ですね(笑)。でも、この曲の妹さんって、お兄ちゃんの親友と結婚するんですね。個人的にはナイなぁ……。 【中将】 僕も男の99%はクズだと思っているので、自分の妹や娘と友人がくっつくのってすごい嫌ですね。男同士が集まってする下ネタの内容とかホント最低だし、そんな生き物と身内の女子がつながるのは……。 【橋本】 (笑)。昔、兄から「友だちがお前のことをイイと思ってるらしい」と紹介されて会ったことがあるんですよ。でも二人で話してると、どうしても話題が兄のことになってしまって「もしこの人とお付き合いしたら、一生兄のことを話続けないといけないのか……」と嫌になりましたね。 【中将】 菜津美ちゃんとお兄ちゃんはあまり似てないからいいけど、似てるといろいろ気持ち悪いよね。キスしてる相手が友だちそっくりみたいな……。 【橋本】 たしかに! いろいろゾッとしそうです……。 【中将】 さて、お次はチューリップで『娘が嫁ぐ朝』(1976)。 【橋本】 これは独特の設定の曲ですね! 【中将】 娘が嫁ぐ朝に、一緒に亡き妻のお墓参りに行くという歌詞ですね。こういう曲を聴くと、父親にとって娘は永遠の恋人というか、妻の分身みたいな存在なのかもしれないって思いますね。 【橋本】 いいこと言いますね……だからお父さんも私に嫁いでほしくないのか! 【中将】 特に菜津美ちゃんとお父さんってめちゃ仲いいですもんね。 【橋本】 私の誕生日も家族全員で祝う日と、お父さんと二人で祝う日が別にあったりしますからね。「もし誰かと付き合っていても、誕生日はお父さんを優先して欲しい」とか言い出すヤバいやつですよ(笑)。 【中将】 お父さんとしては最高に楽しいだろうけどね(笑)。もし今後、菜津美ちゃんがお母さんになったとしたら、娘に対してどんな感情を抱くんでしょうね。 【橋本】 すごい心配して相手のこと調べたりするウザいお母さんになるかもしれません(笑)。 【中将】 身内愛の強い家系なんですね(笑)。さて、最後にご紹介する曲はH2Oで『想い出がいっぱい』(1983)。いつからか卒業ソングとして学校でも歌われるようになりましたが、子どもたちが自ら「少女だったといつの日か想う時がくるのさ」と歌うのはいささかシュール。やはり、これは娘を思う父親のお気持ちソング……結婚式で歌ってもいい曲なんじゃないかと思い、あえてセレクトいたしました。 【橋本】 以前の回で中将さんが指摘して気が付きましたが、やっぱりこれは父親目線ですよね。 【中将】 いい歌なんだけど、父から娘への思いだと思うとなんかねっちょりした感情を感じますよね。父から息子、母から娘ではまず起こらない独特の感情。 【橋本】 私の父も兄に対しては全然ドライですからね。「結婚するときも結婚相手を紹介してくる必要なし」とか言ってますし。 【中将】 お兄ちゃんが”タワマン芸人”としてバズったときも「破産したらいいのに」とか言ってましたね(笑)。 【橋本】 あれは冗談の部分が大きいですけどね(笑)。
ラジオ関西