目黒製作所の工場があった「那須烏山」にメグロ旧車が集結!【第三回メグロ・キャノンボール那須烏山レポート】
歴史的希少車から現行車まで、会場がそのままメグロ歴史館に
■静岡県浜松市から参加のスタミナZ7(1956年~ 496ccOHV単気筒)はレストア段階で下地に白いペイントが現れ、元白バイだったことが判明。そこで白バイ仕様の再現を画策。当時の白バイ色への再塗装は難しかったが、浜松市在住で元ライラックの塗装担当者と試行錯誤を繰り返して上手く再現できたと言う。シートも当時と同じ構造でフレームまで新作したダブルシートという力作。 ■神奈川県からタンデムで参加したスタミナK1(1960年~ 497ccOHV2気筒)。フロントに付いた旗の「目黒植輪介」とは、古き良きバイクを次の世代に知ってもらい、乗ってゆくことで助け合う活動を行うグループのこと。そのメンバーはSNSなどを使って全国につながっている。 ■会場には現代のメグロとして復活したカワサキ メグロK3(2021年~ 773ccOHC2気筒)が31台も集まった。カワサキのプレミアムな1台として、高度な技術が求められる銀鏡塗装のタンクや職人の手仕上げという専用エンブレムを採用するが、それゆえ大量生産ができない。そのようなモデルとしては驚きの集結率だろう。 ■当時のままの未再生原型といった姿で展示されていたメグロジュニアS8(1963年~ 249ccOHV単気筒)。1960年代後半から1970年代にかけては、このような古びたメグロが全国の解体屋などで見かけることができた。 ■トラックに積まれて参加のこの車両は1953年型のヒカリ号(大日本機械工業製)。同車は戦前の川崎重工の流れをくむ高槻工場で製作されたOHV150cc単気筒エンジンを搭載している。この時代のカワサキはエンジン供給のみを行っていたが、現存する実車は極めて珍しい。 ■イベント前週までジャパンモビリティショー2023で展示されていたメグロ100周年の看板の前には、レストア事業が行われている1949年製Z型の車体と部品類が展示された。 ■Z型の再生で新作されたマフラーは5軸マシニングセンタを用い、鉄のブロックを両面から削り出し厚さ0.8mmに仕上げられたもの。その左右ピースを腕の立つ溶接職人が見事に合わせて完成させた。 ■有名なメグロコレクター、故・榎本功氏所蔵の目黒製作所製H.M.Cエンジンとその関連部品が初めて公開された。エンジンは戦前、兵庫モータース製作所製造のH.M.C号に搭載されていた物の生き残りだ。 ■エンジンは水冷のV型2気筒750cc。冷却は水温の温度差により循環させる自然循環式で、ウォーターポンプを持たない。シリンダーブロックには目黒製作所のMWマークの他に、製造年の1937の刻印も打たれている。