災害と向き合う伊豆半島...住民や観光客をどう守るか 隣り合う市町で支え合う仕組み作りも【激動2024・静岡】
静岡放送
静岡の1年を振り返る「激動2024」。元日の能登半島地震で始まり、夏には南海トラフ臨時情報が初めて発表されました。観光地、伊豆半島では広域での防災対策に向けて動き出しています。 【写真を見る】災害と向き合う伊豆半島...住民や観光客をどう守るか 隣り合う市町で支え合う仕組み作りも【激動2024・静岡】 週末、観光客で賑わう静岡県下田市のホテルです。師走らしい賑わいになりましたが、書き入れ時のお盆シーズン、経験したことのない事態に陥りました。 <下田セントラルホテル 角田桂喜支配人> 「観光業界としてはやはり痛手ですよね。怖がられたんじゃないですかね、お客さんも。私自信もそうですけど、南海トラフが起きそうだって捉えると」 2024年8月に初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」の「巨大地震注意」。下田市の宿泊施設だけでも少なくとも2000人がキャンセルするなど観光に大きく影響しました。 <東部総局 竹川知佳記者> 「そこで課題となったのが観光客が安心して遊びに来られる防災への備えです」 <下田セントラルホテル 角田桂喜支配人> 「こちらは備蓄品として防災の食糧をですね、200人分3日間、皆さんが過ごせるように備蓄しているところでございます。(防災対策を)スタートしてから10年かかりましたね」 こちらのホテルでは満室分を想定した非常食や衛生用品、それぞれの客室には防災ずきんや懐中電灯を用意しています。 <下田セントラルホテル 角田桂喜支配人> 「こちら、道路が大きいの3つ。こちらがどういう状況かすぐわかるような状況になっています」 災害時には観光客が帰るための道路や鉄道の情報をリアルタイムで表示するサポートをしていますが、ルートは限られています。下田市から首都圏を目指す主要な道路は3本。 伊豆半島の東海岸沿いを走る国道135号。天城峠を抜ける国道414号。そして西海岸沿いの国道136号です。下田市を訪れる観光客のうち8割が車を利用していて道路は帰宅のための生命線ですが、いずれも津波や土砂崩れなどの被害を受けるリスクがあります。 元日に起こった能登半島地震。主要な幹線道路の9割で緊急での復旧が完了したのは発生から2週間後、孤立集落などが相次ぎ半島の課題が浮き彫りになりました。伊豆半島でも観光客が長期間にわたって取り残される恐れがあります。 <下田セントラルホテル 角田桂喜支配人> 「帰宅支援というのは限界がありますね。県、国、市の手を借りないとできない大きな問題だと思っております」 静岡県の「第4次地震被害想定」をもとに3日分は下田市が市民と観光客1万4千人分の食料などを用意していますが、寸断が長引いた場合はひとつの自治体だけでは対応しきれません。 <下田市防災安全課 松本瞬主査> 「それ(3日)以上の期間に及ぶということになれば、近隣の市町もそうですけども、救助救援をしていただく部隊、そういうところとも連携しながら対応を考えていかなければと思っている」 そこで進められているのが隣り合う市町で支え合う仕組みです。
「本日をもって、伊豆半島広域防災協議会の立ち上げをさせていただきたいと思っています」 10月に開催された伊豆半島7市6町首長会議では新たな協議会を設立しました。静岡県伊豆市の菊地豊市長は、防災対策の連携が観光地としての価値を高めることにも繋がると意気込みます。 <菊地豊 伊豆市長> 「安心感と我々のワンボイスでの観光プロモーションをすることによって、世界で最も魅力のある、半島の1つを目指していきたいと思います」 どんな時も安心して訪れられる観光地へ。半島防災の課題に伊豆半島全体で向き合っていきます。協議会ではけが人の病院への搬送方法や災害廃棄物の処理などについても検討していく方針です。
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