世界遺産登録で日韓対立 徴用工「forced to work」への日本政府の立場は
国際的な理解は得られない?
国際的な感覚でこの問題を見ておくことも必要です。日本側が声明の中で“forced to work under harsh conditions”であったことを認めたことを各国は評価しますが、それに加えて、“forced labour”だったことを認めたわけではないことについて、残念ながら国際的な理解はなかなか得られないと思います。この説明を支持している外国人がいるという報道もありますが、それを国際社会全体の反応とみなせるか、非常に疑問です。 各国は、多くの朝鮮人が意思に反して連れて来られ,厳しい環境の下で働かされたことについて同情を抱いています。日本人の多くも同じ気持ちでしょう。日本政府の法的立場は明確かつ堅固であり、「強制労働」の文言で左右されることはありません。したがって「強制労働」の有無にかかわる議論を戦わすことは無益であるのみならず、国際社会における日本のイメージを損なう恐れがあると思います。 (美根慶樹/平和外交研究所)
■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹