そもそも夫と交渉できない人も…家事育児の分担、仕事の満足度に影響 職場の理解も大きく関係 全国母親アンケート実施
信濃毎日新聞社は、子育て包括支援事業などを手がける「コネヒト」(東京)と共同で、全国の母親2838人に子育てしながら働くことに関するアンケートを実施し、結果をまとめた。 出産後も自分の働き方に満足している人は46%。分析から、家族らと家事育児の分担ができていない人は、仕事への満足度が低い傾向にあることも明らかになった。性別に関係なく個性や能力が発揮できる社会を目指すためには、「家事育児は女性が担う」という意識を見直していく必要がある。 【グラフ】母親たちが働き方を選んだ理由、多かったのはこれだ。仕事への満足度にも影響
回答者のうち産・育休中や求職中、専業主婦を除く1646人に働き方の満足度を5段階評価で尋ねると、満足度が高い「5」や「4」を選んだ割合は46%。このうち現在の働き方の理由として「家族と家事育児の分担が可能」と答えた人は37%、「(義)父母による子育てのサポートがあるから」は19%だった。
満足度が低い「1」か「2」を選んだのは22%。そのうち働き方の理由が「家族と家事育児の分担が可能」な人は25%、「(義)父母による子育てのサポートがあるから」は12%で、ともに満足度が高い人を下回った。一方、「家族と家事育児の分担が難しい」は22%で、満足度が高い人を上回った。
満足度が高い人のうち「子育てをしながら働くことについて職場の理解があった」を理由に選んだ人は83%だった一方、低い人は50%。家事育児が分担できることに加え、職場の理解も仕事の満足度に大きく関わっていた。
県立大大学院ソーシャルイノベーション研究科講師の渡辺さやかさん(42)=社会学=は「家事育児の分担について、そもそも夫と交渉できない人も多い」と指摘。「家事育児を全て自分が担う」と感じると仕事もつらくなり、「家事育児は夫らと分け合えている」と感じると負担感も減る―としている。 【アンケートについて】 アンケートは、コネヒトが開発・運営する母親向けアプリ「ママリ」の利用者を対象に実施。子育て中または妊娠中の女性2838人から回答を得た。 調査期間:2023年9月2~3日、9~10日 調査方法:インターネット調査 【コネヒト】 「あなたの家族像が実現できる社会をつくる」をビジョンに掲げ、母親向けのアプリ・情報サイト「ママリ」の開発・運営や、子育て包括支援、企業や自治体向けの育休取得支援事業を手がけている。