“第二の竹田城”にも集客 朝来市が観光都市化を目指す
“天空の城”として人気の竹田城のある兵庫県朝来市が、“第二の竹田城”として、同市内の「神子畑(みこばた)選鉱所跡」を観光スポットとして売り出していく。竹田城の人気で、多くの観光客が朝来市を訪れるようになったが、「竹田城を見学したあと、多くの方が県北の城崎温泉に抜けていってしまう」など、朝来市の活性化につなぎきれていないことから、新たな魅力を提供し、観光都市化を目指す。
「神子畑選鉱所」は、隣接する養父市にある明延鉱山で採掘された鉱産物を製錬するために作られ、東洋一の選鉱所として1987年まで稼働していた。鉱山閉鎖により、その役目を終え、“廃墟”となっていたが、その壮観な佇まいは、一部のファンから支持を集めていた。しかし、中には無断で建物内に侵入する人がいるなど、安全性の観点から2004年に建物を解体。現在、鉄筋コンクリートの基礎部分だけが残されている。
一方で、あまりに巨大な施設ゆえに、『基礎』だけとなった現在もその存在感は、竹田城に匹敵。現地を向かうための交通手段が用意されていないにも関わらず、年間に数千人が訪れる、知る人ぞ知るスポットとなっている。雲海に浮かぶ竹田城も石垣を残すだけで、基礎を残すだけの同選鉱所跡とも共通している。そのため、朝来市では、“第二の竹田城”として、売り出していきたい意向だ。「竹田城をきっかけに朝来市を訪れた方が、少し足を伸ばして神子畑選鉱所を見に来てくれたり、生野銀山に足を運んでくれたり、そういった形で観光都市を目指していきたい」と同市関係者。観光客にとって、魅力ある街作りを目指していく。
もともと同市内には、観光スポットとして生野銀山があり、過去には年間で20万人を集めていた実績もある。今回、売り出す神子畑跡や、昨年50万人の登城者を数えた竹田城などと、うまく連携し、県北の城崎温泉への立ち寄りスポットから、最終目的地への“昇格”を狙う。 今秋には、神子畑選鉱所跡で、プロジェクションマッピングも実施予定。京都・二条城で同イベントを実施したクリエイターを招き、“第二の竹田城”を大々的に売り出していく。「交通手段などは、まだまだ整っていないが、シャトルバスを運行するなどして、朝来市を訪れた人に楽しんでもらえるようやっていきたい」(同市関係者)。 ほかにも、オオサンショウウオの里や夏には多くのホタルが集まるスポットがある朝来市。すでに観光名所として定着した感のある竹田城を軸に、市内を周遊させるプランを今後、打ち出し、観光都市化を進めていく。