「実情に合わせ柔軟に」 こども誰でも通園制度、26年度導入に向け和歌山県
保育施設を利用する場合、現状は一定の要件が必要とされるが、「こども誰でも通園制度」は、就労条件を問わず、時間単位で柔軟に利用できる新たな制度。保育所などに通っていない満3歳未満の子どもが対象で、市町村が指定した保育所などで実施する。本格実施を2年後に控え、和歌山県内では紀美野町や海南市で本年度から、試行事業が始まっている。 【保育士の処遇 抜本的改善を 「県外に流出している」和歌山など6県が国に要望の記事はこちら】 検討会では、県やこども家庭庁の職員から制度や課題の説明があり、保護者の代表や保育関係者、自治体職員、大学教授らが意見を出し合った。 保育関係団体の会長は「和歌山では保育士のなり手が少ない。定員割れし、保育士が余っている所はできるが、全国一律にやること自体が無理だ」と話した。 一方、別の保育関係団体の会長は「少子高齢化が進む中、将来的なことも含め、空き定員を埋めるためにやらなければならない施策だと思う」と制度を歓迎した。 ある市の職員は「ほぼ満員で途中入所や一時保育は断っている状況。制度の意義は理解できるが、公立、私立とも保育士不足で余裕がなく、これ以上の受け入れは難しい」。別の市の職員からは「国がスタートすると言ったら市町村が受け皿をつくらないといけないが、現状、保育士不足で余力はない。現状の制度でいいのではないか」と、ちゅうちょする意見が聞かれた。 また、利用する側の保護者代表は「もし、2時間の利用となると送迎を含めるとそれほど心が安まらず、家でも何もできない」と、まとまった時間を利用できる制度にすることなどを要望した。 大学教授は「保育士は、コロナ禍でも仕事を優先せざるを得なかった重要で責任が重い職業だが、処遇面からその道を諦める高校生も多い。重責に見合った処遇改善をしっかりやってほしい」と求めた。
紀伊民報