日産、経営再建へ猶予は1年-26年に迫る過去最高の「社債償還の壁」
ブルームバーグのデータによると、日産の格付けはムーディーズが「Baa3」、フィッチが「BBBマイナス」で、いずれも投資適格級で最も低い。一方、S&Pグローバル・レーティングは「BBプラス」と既に投機的等級となっている。格付け見通しはいずれも「安定的」で、当面は格付け変更の可能性は低いことを示唆している。
懸念の一つは自動車部門からのフリーキャッシュフロー(FCF)が4-9月期に赤字に転落したことだ。S&Pはリポートで、4400億円超の赤字は業績の悪化と投資負担の増加によるものだとした上で、今後も中長期的に電気自動車(EV)の開発や自動運転など次世代技術開発のための多額の投資負担が続くため、業績を早期に安定化させてFCFの黒字化基調を維持できない場合、格付けへの下方圧力が強まるとの見解を示した。
日産はまた、日本の自動車メーカーの中で収益に対する借入金が圧倒的に多い。ブルームバーグが集計したデータによると、前期のEBITDA(支払利息・税金・償却・減価償却前利益)に対する借入金の比率は8倍。一方、トヨタ自動車は4.9倍、ホンダは4.7倍、日経平均採用企業の平均は3.3倍だった。
CMAのデータによると、日産のCDSは今月初めに23年3月以来の高水準となる約178ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)に上昇した。日本の大手企業の中でCDSが日産よりも高い債務不履行リスクを示すのは3社しかない。
社債価格も同様の動きとなっている。ブルームバーグのデータによれば、30年に満期を迎えるドル建て債のスプレッドは234bpと、今年の最低水準から50bp急拡大した。金融部門が発行した27年満期の円建て債も、スプレッドは今年の最低水準である約51bpから約80bpまで急騰した。
日産にとって主要市場の一つである米国では、次期大統領のトランプ氏がメキシコで生産された自動車の輸入に対して200%を超える高関税率を課す意向を示している。同国は日産にとって重要な製造拠点と販売市場である上、トランプ氏は他の国々からの輸入品についても関税を引き上げる可能性を示唆している。