【50代白髪調査隊がゆく! 白髪の悩みQ&A】頻繁に白髪染めをしています。 髪や頭皮にダメージが少ない「染め方」を教えてください!
花王 島津:また、近年ホームカラー用商品として人気の泡タイプや2種類のクリームやムースが一緒に出てくるエアゾール式も、同じく「酸化染毛剤」で、「医薬部外品」に分類されるものです。 これらの「酸化染毛剤」は「アルカリ剤」「酸化染料」「過酸化水素」などがおもな成分。「アルカリ剤」には毛髪を膨らませて、キューティクルの隙間を広げる役割があります。 こうして広がったキューティクルの隙間から「酸化染料」を入れ、髪の内部に浸透させます。毛髪内に浸透した染料は、酸化して結びつくこと(重合)で発色します。同時に、「過酸化水素」の作用によって、もともとあるメラニン色素を分解して髪色を明るくすることで、きれいに発色するよう働きかけます。 この方法は、黒髪を明るく染めるおしゃれ染めも、白髪をカバーする白髪染めも基本的には同じ。色もちはだいたい1~2カ月間といわれています。しっかり髪の内部まで染めて、色を長持ちさせるのに効果的な染め方です。 ただし、染料を髪の内部に浸透させるために、毛髪を膨らませることで、キューティクルも広がるので、髪にはある程度の負担にはなります。 セトッチ:「キューティクルを広げる」と聞くと、すごく傷む状況をイメージしてしまいます。髪の中の成分が抜け出ていってしまうような…。 〔泡タイプの製品例が写真の花王「ブローネ 泡カラー」。毛束の根元まで行きわたりやすい超浸透泡が、自分ではチェックできない後頭部の髪や髪の内側などにもすべり込むので、染め残しの心配なし。ホームケア初心者、不器用さんにおすすめ〕
アリミノ 田中:これは私からお答えしましょう。髪の毛の構造は、よく「のり巻き」に例えられるのですが、いちばん外側の「のり」にあたるのが「キューティクル」です(参考:のり巻きのご飯にあたる部分をコルテックス、具材にあたる部分(芯の部分)をメデュラといいます)。 キューティクルは半透明で、うろこ状に少しずつ重なるよう8枚前後、平たく重なっています。 キューティクルの重なりが多い人と少ない人など、個人差があり、キューティクルの重なっている枚数が多くて層が厚い髪ほど、太くて硬い髪になります。 また、通常はこのキューティクルとキューティクルの間は閉じていて、さらにそこには脂質成分が存在します。 健常な毛髪ではこの脂質成分が髪の内部組織を守る働きをしていますが、染毛剤はキューティクルを開いて脂質成分を分解して染料を入れるので、キューティクルを開いたままにしておくと、髪の中の成分が流失してしまう恐れがあるのです。 セトッチ:なるほど。「髪が染まるメカニズム」は見方を変えれば「髪が傷むメカニズム」でもあるということですね、う~ん悩ましい。 しっかり染まるということは、イコール傷みやすいといわれる理由がわかりました。 「しっかり染めたい」でも「ダメージを減らしたい」というふたつの望みは、相反する望みということですよね。難しいですねぇ…。 花王 島津:そこで、キューティクルが広がったままにしないよう、染めたあとに、トリートメントなどで表面をコーティングしてキューティクルの開きを抑え、髪の成分の流失を抑えるケアが大切になります。 近年は、染毛剤にトリートメント成分が配合されていて、染料が髪の中に入っていくのと同時に、ヘアケア成分も髪の内部に浸透させるようになっているものも増えています。 セトッチ:そういえばサロンでは必ず、トリートメントメニューとセットになっているコースをすすめられますね。 アリミノ 田中:サロンでは、白髪染めをする際に、トリートメントをオプションでプラスできるメニューも充実しています。「染める前のトリートメント」「洗い流す際のトリートメント」「ドライヤーで乾かす際のトリートメント」など。 こうした数種あるオプショントリートメントが、髪の成分が抜け出る危険性の高いタイミングでカバーし、傷みを可能な限り防いでくれます。 髪のプロである美容師さんが、こうしたケアをしっかりしながら、髪を染めてくれるというのが、サロンで髪を染めるいちばんの魅力だと思います。 セトッチ:ホームカラーもサロンでの染毛も、ともに今は白髪染めをしながらヘアケアもできるというのはいいですね。染毛剤も染める方法も、どんどん進化しているのはうれしいです。