[猫学42回目]にゃんこのトイレとペットテックの進化
猫で感心するのはトイレをすぐに覚えることです。犬ならば、何度も失敗を繰り返しながらようやく覚えるものが、猫は迎え入れたその日から、トイレをちゃんと済ますのですから。 【動画】人間に警戒心、捕獲された直後のノネコの「ハニー」
これ幸いとばかり用を足す
こうした猫のトイレの始末の良さは、ネコ科の習性(猫学21回目参照)から説明がつきます。ネコ科の動物は、単独行動で警戒心が強く、外敵や獲物に気づかれないよう暮らしています。そのため、うんちやおしっこをしたら、砂をかけて痕跡を残さないようにするのです。この習性は飼い猫であっても変わらず、猫砂があれば「これ幸い」とばかり、そこで用を足すわけです。 詰まるところ、猫はトイレの場所さえ教えれば、あとはちゃんとするお利口さんなのです。犬と異なり、トイレで用を足したらほめてあげるようなことも、まずはいりません。これは決して犬をけなしているわけではなく、猫と犬の生態や習性に由来する違いなのです。 ただ猫も初めて来た家で、トイレの位置がわからないと、飼い主の期待に応えることができません。一つの手としては、抱っこして猫砂の上に下ろし、その足裏を猫砂に触れさせる、という方法があります。足裏の感触で、トイレがここにあるのだと教えるわけです。
ノネコだって初日から
私は2020年からノネコのハニーを飼っています(猫学1回目 参照)。小笠原諸島・父島の山間部で捕獲されるまで、野生で暮らしていました。捕獲時は推定生後5か月で、このときまで自分でネズミや鳥などを捕って食べていたと思われます。三つ子の魂百までではありませんが、野生動物並みの警戒心が染みついているのです。 我が家に来たときは、鬼の形相でシャーシャーと威嚇し、猫パンチを連打してくる状況でした。抱っこするなど想像の外で、足裏を猫砂に着ける作戦はとうていかないません。そんなハニーですが、こちらが用意したトイレで、初日からちゃんと済ませてくれました。私のほうも、トイレを覚えてもらおうと、それなりに作戦を練った(猫学15回目参照)とはいえ、今もって感心しています。