企業・団体献金禁止の立民に向けられる懐疑的視線 民主党時代は受け入れ再開
今国会初の衆院政治改革特別委員会が10日、開かれ、政治資金規正法再改正に向けた本格議論が始まった。主要な論点となる企業・団体献金をめぐっては、自民党が容認する立場で徹底した透明化を主張したのに加え、国民民主党も禁止を訴える立憲民主党を牽制。旧民主党政権時代、全面禁止を掲げながら献金を再開させた経緯もあり、立民の姿勢に懐疑的な視線が向けられている。 「公約に禁止を掲げ政権を取った後、自粛していた献金を受け入れたという経験がある。自戒を込めて与野党一致できるよう議論を尽くしたい」 旧民主党の流れをくむ国民民主の長友慎治氏は特別委での意見表明で、企業・団体献金の禁止を掲げる立民を当てこすった。 立民の源流である旧民主党は平成21年の衆院選で企業・団体献金の「全面禁止」を掲げ、政権交代を果たした。しかし翌22年、わずか1年で方針を撤回し、受け入れ再開を決めた。当時の岡田克也幹事長は、個人献金が伸び悩み、党の収入が国費である政党助成金に過度に依存していることなどを理由に挙げていた。 石破茂首相(自民総裁)も10日の衆院予算委員会で、旧民主党の対応を「企業・団体が政治の面で資金を出すことは一定の範囲で認められるという立場だった」と指摘した。自民は特別委で、企業・団体献金の禁止ではなく「徹底した透明化、公開が大切だ」と強調し、政治資金収支報告書を閲覧しやすくするデータベースの構築を主張した。 立民が参政、社民両党、衆院会派「有志の会」と共同提出した企業・団体献金の禁止を盛り込んだ規正法再改正案も与野党から批判を浴びている。日本維新の会や国民民主は、立民案が禁止対象から政治団体を除いていることから「抜け穴がある」として共同提出には加わらなかった。 立民としては、支援を受ける労働組合に賛同する個人が政治団体を組織し、そこから献金を受ける余地を残しておきたい思惑が透ける。自民は「立民案は正確には『企業・団体献金禁止法案』ではない。『一部禁止法案』ではないか」(小泉進次郎政治改革本部事務局長)と攻勢を強める。 野党は企業・団体献金の禁止に大筋では一致するが、立民案への支持は広がっておらず、特別委で可決に必要な過半数の賛成は見通せていないのが現状だ。(小沢慶太)