【解説】世界が注視する台湾総統選挙 本格的「三つどもえ」に 最終盤の注目点は
■柯文哲氏の迷走 無視できない理由
一方、野党候補一本化のドラマを経て、柯文哲氏の支持率は20%前後に落ち込んだ。前述のように、自身が侯氏を支持率で上回る世論調査が出ていた時期には「侯氏を総統候補にしても頼清徳氏に勝てない」などと強気な発言をしていた。しかし、11月の国民党との候補一本化の交渉では、侯氏に有利な内容にもかかわらず合意。その後、最終的に合意を反故にするかたちで立候補するなど、姿勢を二転三転させたことが失速につながったという。 「柯氏の態度が完全にひっくり返った。一度、自分が政治家として(候補一本化の合意文書に)サインしたにもかかわらずそれを反故にしてしまったが、これは相当めちゃくちゃなこと。柯氏の(熱心な支持者ではなく)なんとなく『いいな』と思っていた人たちの中から離れた人が出た。これは当然だと思う」
■しぶとい柯氏 あおりを受ける侯氏
「ただ、柯氏は一時『もうだめだ』という見方が台湾で出たが、(支持率20%前後で)踏みとどまっている。厳しいが、脱落した状況でもない。これはすごく重要で、支持率が15%以下になると、いよいよ支持者も『投票してもしょうがない』と離れる人が出てくるが、20%あると『ここまで頑張ったから最後まで応援しよう』という気持ちになる」 小笠原氏は、この状況が侯氏にとって厳しい展開になると分析する。 「頼清徳氏の支持率は35%前後で、これは結構な部分が岩盤支持層。今の支持率調査には(どこに投票するか)『わからない』という人が10数パーセントいて、投票日にはこの人たちの票がのっかる。(過去の経験に基づく)私のおおざっぱな計算では頼氏は得票率が42%はとりそうで、スキャンダルの発覚など突発的な事態が起きない限り、なかなか割り込まないと私はみている。すると侯氏が勝つためには43%得票しないといけないが、柯氏が20%得票してしまうと(計算上)それができなくなる」 「侯氏のシナリオは、柯氏を徹底的に蹴落としてその票を自分がとる、というシナリオだが、柯氏が踏みとどまっている状況では簡単ではない」