「熊出没注意」看板を無視…!クマに喰われる危険を顧みず、山菜を採りに行く人たちの”知られざる正体”
明らかに増えてきた「大型のクマ」
「オレは子どもの頃から親父に連れられて山に入ってる。雪解けの頃の山菜からタケノコ、キノコなど。真冬を除いて、年中山にいる。クマの怖さは知っている。親父から教えられたのは、クマは臆病だから大きな音を出しておけば大丈夫だというものだった。 なので、カセットデッキを持ってきて好きな演歌を大きな音で流して『人間がここにいる』ということを、知らせるようにしている。 山ではハチやヘビ、猪も怖いが、最大の敵はクマだ。クマを寄せるから、食い物は山に絶対に持っていかない。以前は、クマが嫌いな木酢液を自分でつくり、さらに唐辛子を入れて煮込んだ液を周囲に撒いたりもした。おまじないのようなものかもしれない。仲間の中には自分の小便を集めておいて、それを撒く者もいるな。 クマについては個人的に勉強をしている。昔のクマと今のクマは性質が違ってきている。人間を恐れないクマが増えてきたと思う。 あるクマは、俺が大声出しながら近づくと、ダァッと走って逃げていたと思えば、いつの間にか近くの木陰からジッとこちらを見ていたりすることもあった。 そういうクマがいたかと思うと、オレの姿を無視したまま背中を向けて餌を食べ続けているクマもいる。それでも人間に向かっていきなり襲いかかるようなクマは、ほとんどいなかった。 変わってきたのは、ここ10年くらいだ。ハイブリッド(ヒグマとツキノワグマの交雑種)がいると噂が広まったのも、その頃からだった。それまで知っていたクマの性質とは違う、大型のクマが増えてきたことが原因だと思う」
襲いかかってきたクマが下半身を…
「仲間の中では、それまでいなかった大型のクマの話は常識のようなものだ。それが八幡平にあったクマ牧場から逃げてきたクマであるのか、奥山の方で餌が少なくなって下りてきたクマであるのか、わからない。 だけれど、凶暴なクマが増えてきたのは本当の話だよ。5年前には秋田県側の山でクマにやられたことがある。ナラの木に生えるキノコを採っていた最中に、木の上から目の前に落ちてきた。まさかいるとは思わなかった。 小柄なクマだったが、唸りながら下半身にむしゃぶりついてきて、そのまま倒されてしまった。たまたま厚着をしていたのが幸いした。顔を守りながら何度もクマを蹴ると、ようやく諦めて逃げていった。 膝の辺りを噛まれ、爪でもやられてひどく出血した。傷口からバイ菌が入って、2ヵ月近くは膿が出続けた。もう歩けなくなると思ったよ。“毒”が頭に回ると口がきけなくなったり、歩けなくなったりするなど、普通の生活を送れなくなる。結局、その冬は一度も山に入らずに家でじっとしていた。 今年の春先も、ウドを採りに山に入ったら、隣の山からクマの吠え声が聞こえたんだ。離れているので『大丈夫だな』と思っていたら、山を越えて俺から200メートルくらいの距離まできて、今度は威嚇の唸り声が聞こえました。 そろそろ離れようかと思った矢先、すぐそばの藪からクマが立ち上がって顔を出した。俺は慌てて動かずにしばらくジッとしていたら、興味失って逃げていったので大丈夫だった。隣の山から俺を追いかけてくるなんて、経験したことはなかったよ。何にでも興味のある若いクマだった。 今年のクマは違うな。「変な年」「嫌な年」だなと思ったんだ。山の変化が激しいのが原因だ。倒れるはずのない木が倒れ、増水で地形が変わる。クマの通る道も変化している。奥山にクマの餌のブナの実が十分にない年がある。一応周期があるようだけれど、ここのところの気候変動で山の中の様子も違っているんだな」
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