『極悪女王』ゆりやんのアメリカ進出に数々の布石が 「ゾクゾクさせてくれや」渡辺直美と共通する実験精神
得意分野で存在感を示す
これまでの経歴を振り返ると、ゆりやんの渡米は「意外」というよりも「有言実行」という言葉がしっくりくる。 幼少期にマイケル・J・フォックスが主演を務めるSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を見てアメリカへのあこがれが強まった。一方で、小学校2年のときに笑いに目覚め、発表会でクラスメイトと「吉本新喜劇」をそのまま真似たコントを披露している。 中学時代には、英語のスピーチコンテストに出場したり、姉の影響で洋楽を聴き始めたりと具体的な行動が現れる。高校受験時には、第一志望の学校に進学できたものの、受からなかった場合はアメリカ留学も考えていたという。 大学時代は文学部の「映像文化専修」を専攻。好きな洋画を観たり留学した友人と英語を話すようになったりして、自然と英会話を上達させていった一方で、ダンスサークルに入って踊りとヒップホップにもハマっていく。2012年、大学4年でNSC大阪校に入学し、翌2013年に首席で卒業。程なく2015年の『R-1ぐらんぷり』で3位になった。 一方、同年放送の『ナイナイの海外定住実験バラエティー 世界のどっかにホウチ民』(TBS系)出演時には英語力が生きた。番組から資金10万円を渡されアメリカ・ニューヨークに3カ月間滞在するというもので、同居人にアルバイト先を紹介してもらい、コメディーショーの舞台に立ち、ほのかな恋も経験するなど充実した生活ぶりがうかがえた。 その後、2017年の『女芸人No.1決定戦 THE W』、2021年の『R-1グランプリ』で優勝するなど賞レースで結果を残しつつ、バラエティーやドラマ・映画、CM出演のほか、NHKの『知りたガールと学ボーイ』(2019年~2022年レギュラー放送終了)に見られるような得意の英語を生かした番組も並行して進めていったゆりやん。 お笑い、英語、映画と、どの分野でも存在感を示す姿には風格さえ漂う。当然ながら、アメリカを拠点に活動するには現地語を扱える方が都合はいい。ゆりやんのキャリアは、すべてがアメリカ進出の布石にも思えるほど土台がしっかりしている。