『極悪女王』ゆりやんのアメリカ進出に数々の布石が 「ゾクゾクさせてくれや」渡辺直美と共通する実験精神
アメリカ進出に向けて
以前から、アメリカ進出に向けての動きは見受けられた。その1つが、米NBCテレビのオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』への出演だ。 ゆりやんが出場した2019年以前は、ゴンゾー、ゆんぼだんぷ、ウエスPらがアジア版やフランス版などの『ゴット・タレント』に出場し注目を浴びていた。そんな潮流を読んでのことか、ゆりやんは自ら志願してアメリカ版に挑戦している。 黒づくめの衣装を脱ぎ捨て、角刈りのカツラ、星条旗の水着姿となったゆりやんは、ロックバンド・ヨーロッパの楽曲「ファイナル・カウントダウン」をバックに首や手首を機敏に動かす奇妙な踊りを披露。残念ながら落選してしまったが、パフォーマンス終了後に審査員と流暢な英語でやり取りする姿は堂々たるものだった。 前述の『あさイチ』で、ゆりやんはこの件に触れ「オーディション(筆者中:の映像素材を)出したときはぜんぜん違うコントを英語に直してやってたんですけど、現地でオーディションするときに、この水着とこのカツラで暴れるの楽しくて。直前で変えました」と語っている。どんな状況でもマイペースな姿勢を失わないのが彼女の凄さだ。 もう1つは、アリアナ・グランデに扮した“ゆりやな・グランデ”としての活動だ。 2017年にアリアナ・グランデのベストアルバム「THE BEST」の発売記念で公開されたアカペラ動画「デンジャラス・ウーマン」から始まり、今年3月に第4弾となるパロディー企画を実施している。 とはいえ、もっとも注目を浴びたのは2020年に渡辺直美とコラボしたレディー・ガガとアリアナ・グランデの楽曲「レイン・オン・ミー」のパロディー動画だろう。 この動画は、渡辺がレディー・ガガの制作チームの許諾を得てオリジナルの世界観を忠実に再現し、自身のYouTubeチャンネルで公開した本格的なパロディーだ。レディー・ガガ役の渡辺の太ももに刺さるナイフが串団子になっていたりと笑える場面もあるが、何より本家になり切った2人のダンスパフォーマンスが圧巻だった。 レディー・ガガ本人がTwitterで「Love this!!!(これ、大好き!!!)」と動画にコメントし、公開して1週間で1000万再生を突破するなど国内外を賑わせた。翌2021年に渡辺が本格的にニューヨークでの活動をスタートさせた背景を考えると、このコラボがゆりやんの海外志向を後押ししたことは想像に難くない。