やす子さん、マラソン中に胸触られる被害か…SNSでは「この男を逮捕しろ」の声も 「痴漢」に問えるのか?
着衣の上から乳房に触る行為についても、行為態様によっては、わいせつ行為と評価される可能性がありますが、法定刑の重さなどから、ある程度の強度や執拗さが要求されます。「単に触れるだけでは足りず、着衣の上からでも弄んだといえるような態様であることが必要」(条解刑法第4版523頁)と説明されています。 今回のケースは、画像で見る限りは、軽く触れている程度であり、わいせつ行為としての強度や執拗さに欠ける感じがします。 ●故意ならば「迷惑防止条例違反」になるおそれも ――他の罪はどうでしょうか 次に、東京都内での行為ということで、いわゆる「卑わいな行為」(東京都迷惑防止条例5条1項1号)が検討されます。東京都の迷惑防止条例は次のような規定になっています。 第5条 1 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。 (1)公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。 それぞれの要件の解釈について、警察の解説書では「著しく羞恥させ」は「社会通念上、容認し難い程度に人に性的恥じらいを感知させること」とされています。また、「不安」は「卑わいな行為によって、身体に対する危険を覚えさせ、又は心理的圧迫感を与えること」となっています。
また、「不安を覚えさせる行為」について、警察の解説書によれば次のように解釈されています。 「客観的に不安を覚えさせるに足りる『覚えさせるような』=被迷惑行為者が、卑わいな行為を認識することは原則必要であるが、当該行為により実際に不安を覚えたか否かは問わない。当該行為により不安を覚えたかどうかは、社会通念上客観的に判断することとなり、被迷惑行為者が認識していたとすれば、差恥、又は不安を覚えたであろう行為を含む。
『身体』=胸部、臀部、下腹部、大腿部等が一般的ですが、人を著しく差恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為である限り、身体の部位に関わらない。 『触れる』=人を著しく差恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で触れる限り、手以外の部位で触れる場合も含む」