相川七瀬49歳・大学で得た評価は「オリコン1位と同じくらいうれしかった」
3年迷った決断も、本当は不安だらけだった
ーー現在は大学院で民俗学を専攻されていますよね。「自分は何に興味があるのか?」は、どのように見つけたのでしょうか。 もともと、「よく好きなものを見つけるよね」と言われるタイプで、プロデューサーの織田哲郎さんからも「お前は昔から好奇心の塊だね。お前を老けさせないのはその好奇心だと思うよ」と言われていました。 今もちょうどツアーの最中なんですけど、大学院の合宿に参加したり、各地の文化財を見に行ったり、「この忙しいのになんでそんなに動けるの? 専用のジェット機持ってるの?」と言われるくらいの移動をしちゃってます。でも行きたいから「どうやったら行ける?」ばかりを探して、行っちゃうんですよね。 ーーツアー中にですか。すごい行動力ですね。 とはいえ、大学院の選考については、どの道を進んだらいいのかも踏まえて3年も悩みました。大学は神道の学部なので、順当にいけばそのまま神道系の大学院に行くことが多いのですが、大学での学びを経て、今の自分は何に興味があるのだろうとすごく迷って。 2年生の時からいろいろな専門分野の先生方にお会いしてお話しして、自分の興味の領域について、今後どういうことをやっていきたいか? を話して、「やっぱり神道だけではなく、民俗学だ」と見つけて願書を出しました。だけど、その時点でも、まだ迷っていました。本当にこれでいいんだろうか? と。
ーーこれだ! と見つけているわけではないし、選択の時にも迷っている? そうですよ! でも私は、選択の場面ではどちらを選んでも両方を正解にしていくことを意識しているんです。 たとえば、今この部屋から出てもいいしとどまってもいいという選択があったとして、とどまったら「ここにいてよかった、皆さんに出会えた、おいしい紅茶が運ばれてきた」とかでいいし、出て行ったら出て行ったで「道端で人に会った、乗りたかった電車の1本前に乗れたから余裕を持って移動できた」って小さなことでもいいんです。とにかく、自分の選択を正解にしたい。 ーーその考え方は、どのように身に付けられたんですか? デビューして30年近くたちますが、決して順調にきたわけではなくて。仕事がゼロの時もあって、また仕事がもらえるようになって、山あり谷あり。そう考えると、一つずつ丁寧に生きていきたいなと思うんです。 30代後半から特に、与えられた環境で自分はどうやっていくか? を考えることが次につながってくるのだなとわかりました。20~30代前半は人から与えられるチャンスで成長してきたけれど、30代後半からは自分でチャンスをつくっていくことで前進する感じがしたんです。その辺りからですね、すべての選択を正解にしていきたいなと思ったのは。