銅がゴールドに対して急落、ビットコインの強気予想に疑問符
アメリカ大統領選挙で、暗号資産(仮想通貨)支持派の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が当選する可能性が高まっていることや、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待など、ビットコイン(BTC)の強気派にはいくつかの明るい材料がある。しかし、広く注目されているコッパー(銅)とゴールド(金)の価格の比率は下落を続けており、暗号資産を含むリスク資産に赤信号が点滅している。 銅の1ポンド(約453グラム)当たりの価格を金の1オンス(約28グラム)当たりの価格で割った比率は、TradingViewによると、年初来の底値を更新し、2020年後半の水準に達した。 世界経済の健全性と投資家のリスク選好度の代理指標とされるこの指標は、今年15%以上下落しており、2018年以来最大の下落となっている。
経済停滞の兆候か
おそらくもっと心配なのは、世界の工場であり最大の商品輸入国である中国が、9月下旬に一連の景気刺激策を発表して以来、この比率が10%低下していることだ。 FRBは9月に50ベーシスポイントの大幅な利下げを実施し、いわゆる流動性緩和を開始したとされている。しかし、これもこの比率の下限を設定することには失敗した。 この継続的な下落は、リスク資産がおそらく見落としている、より厳しい経済状況の兆候である可能性がある。銅は工業用金属であるため、世界経済が拡大しているときに価格が上がる傾向があり、歴史的に中国の景気刺激策発表に好意的に反応してきた。一方、ゴールドは安全な避難先と見なされている。したがって、銅対金比率の低下は、リスクオフのシグナルと広く見なされている。
ビットコインと銅対金比率の関係
記事執筆時点のCoinDeskのデータによると、ビットコインは年初から60%上昇し、6万8300ドル付近で取引されている。 しかし、ほとんどの値上がりは第1四半期に起こり、それ以来、強気派は7万ドルの水準を超える新たな基盤を確保できずにいる。強気派の失敗には、破綻した取引所マウントゴックス(Mt. Gox)の弁済に起因する供給過剰の懸念など、いくつかの要因があった。 偶然にも、銅対金比率の低下は5月に始まり、リスク回避の兆候を示していた。この下落傾向は7月に勢いを増し、8月初旬の金融市場における短期間のリスク回避を予見するものとなった。 また、TradingViewのデータによると、ビットコインの最高値を記録した年(2013年、2016年から2017年、2020年から2021年)は、銅対金の比率が上昇傾向にあることが特徴として見られる。 過去の傾向が当てはまるのであれば、急落する銅対金比率は、年末までに10万ドルに達するという強気なビットコインの予想に疑問を投げかけている。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:Bitcoin Has a Lot Going for It, Except the Persistent Slide in Copper-Gold Ratio
CoinDesk Japan 編集部