「自分はダメ人間」ネガティヴ思考が無くなるたった5分の習慣(滝川徹 時短コンサルタント)
■未来への不安を払拭する方法
最初にやるべきは不安がなかったとしたら、どう感じるか。考えてみることだ。世界的ベストセラー作家のアラン・コーエンは「What will love say?」と自分に問いかけると良いと私に教えてくれた。世界が愛に溢れていたら。不安がなかったらどう感じるだろう。考えてみよう。 不安がない状態なのだから「まぁ、なんとかなるだろう」と気持ちが落ち着いてくるはずだ。すぐにはそう思えなくても、落ち着くまで繰り返し自分に「大丈夫。なんとかなるよ」と言い続けよう。 大抵の場合はこれで気持ちは落ち着いてくる。もちろん、それでも落ち着かないときはある。そんなときに有効なのが、思考を書き出すことだ。紙に手書きしてもいいし、パソコンに打ち込んでもいい。 なぜアウトプットするのがよいのか。それは、そうすることで頭の中の情報を忘れることができるからだ。タスクをタスク管理ツールに書き出すと頭がスッキリするように。不安に感じていることや気になっていることを書き出すとそのことを一旦忘れることができる。 たとえば私は毎朝5分ほど時間をとって、日記のようなことを書いている。その中に「今不安に感じてることは?」と問う質問を用意している。大抵は何か思いつくのでバーっと感じていることを感じるままに書き出すようにしている。 このときのポイントは、感情をそのままおもいっきり書き出すことだ。これは誰に見せるものでもない。ブログに出すわけでも、SNSに投稿するものでもない。自分の負の感情を自分の中から吐き出すためのものだ。 だから誰かに怒りを感じているなら「あのクソやろう!」などと汚い言葉でもOK。とにかく感じるまま一気に書き出す。そうすると気持ちもスッキリし、不安の感情もだいぶ和らいでいく。 そうして気持ちが落ち着いたら、次は探求の時間だ。私の場合、次の2つを自分に問うようにしている。 (1)(そのことが起きたとして)起きうる最悪のことはなんだろう? (2)今、自分にできることはなんだろう? たとえば将来の経済状態に不安を感じたとする。先の吐き出しで「このまま勤め続けても給料が上がる見込みがないのに、子供達の養育費はこれからどんどん上がっていく。それ以前にリストラされるかもしれない。自分はこれから無事にやっていけるのか?」と不安が出た。 そこで(1)の回答を考える。「自分が自由に使えるお金はグッと減るだろう。それと家族旅行どころか外食も思うようにできなくなるかもしれないな。リストラになったら、もっと家賃が低いところに引っ越さなければいけなくなるかもしれない。いや、一家離散なんてことに……」 こうして起きうる最悪の事態を実際に書き出してみると、なんとなく頭の中でグルグル考えてたほどの事態はそうそう起こらない。そう思えてくる。このことがわかると「もし仮に事態が悪化しても、家族がいれば自分はなんとかふんばれそうだ」と自分の中で腹を括ることができ、安心することができる。そして最も良いニュースは、大抵のことは最悪の事態にまでは発展しないということだ。 覚悟ができたら(2)の回答を考える。「今のうちに資格をとろう。副業はNGだから、フリーになったときのためにコネクションを作っておくとよいかもな。妻の負担を減らすために家事を覚えておこう。散財の見直しも必要か。転職はどうか……」など、現実的な要素で今できることを考えはじめる。 もしそれらをすでに実践していたり、現状ではどうにも動けない場合はどうするか。その場合はここでの答えは「何もない」だ。そして、きれいさっぱりそのことについて忘れること。なぜなら現実的に考えたうえで今の状況ではできることは何もないと結論が出たのだから、これ以上考えても意味がない。 念のため、これらを自問するメリットについて説明しておこう。不安を感じているとき大抵の人は漫然と「このままじゃ大変なことになる!」と頭をただ悩ませている。そうやって「大変なこと」の正体に目を向けることなくひたすら悩んでいたら、漠然とした不安だけがどんどん大きくなっていく。 自分が何に不安を感じているのか。その大変なことの正体を突きとめることさえできれば「最悪の事態」に対する覚悟も決まる。そして最悪な事態まで発展する可能性が低いことがわかれば、次第に安息の時は訪れるというわけだ。 もうひとつのメリットは、今できることに意識を向けることができる点だ。漠然とした不安にではなく、やるべき具体的なことに集中できる。そうすればむしろ前向きな気持ちになれるはずだ。私達にできることは、今の行動を変えることだけ。未来は、今日の積み重ねの先にある。