海外留学の「お金」、意外とおトクなEU圏 授業料が年30万円の国も
わが子を海外留学に行かせたいと思うものの、保護者として気になるのが費用です。どのくらいの学費や生活費がかかり、少しでも抑えるにはどんな手があるのでしょうか。行き先の国によって、金額は大きく異なるため、国ごとの違いを比較します。海外留学には切っても切り離せない、お金事情に迫ります。 【表】各国で1年間にかかる平均学費と生活費は…?
一口に海外留学といっても、行き先や期間、目的によって、かかってくる費用も違ってきます。留学先として根強い人気のあるアメリカは、費用面ではトップクラス。授業料は、私立大学で年間400万~1000万円程度、州立大学でも年間300万~800万円程度がかかります。加えて円安の今、生活費は年間約150万~300万円程度が必要になります。 アメリカの名門大学などへの留学指導を行うアゴス・ジャパン代表の横山匡(ただし)さんは、「30年前はアメリカ私立大の1年間の授業料は、日本人の平均年収の3分の1程度でした。でも今は、平均年収の2倍程度になっています」と言います。 この数字だけ聞くと、「わが家はアメリカ留学には手が届きそうにない」と断念しそうになりますが、費用を抑えるにはいくつかの手があります。 まず、日本の大学が協定を結んでいる海外大学で学ぶ「交換留学制度」を利用することです。日本の大学に授業料を払えば、現地の授業料は免除されるため、生活費や渡航費などの負担のみで留学できます。大学のホームページや留学センターなどで調べてみるのがおすすめです。 さらに海外留学する学生に対しては、送り出す大学や国、自治体などがさまざまな奨学金を用意しています。これらを利用すれば、留学費用を抑えることができます。 アメリカの大学の授業料が高いのは事実ですが、4年間留学して学位を取得しようとする場合には、相当額の奨学金が用意されています。例えば、名門として知られるプリンストン大学は、世帯年収が10万ドル(24年2月初旬の為替レートで約1480万円)以下の家庭の学生は、授業料、寮費、食費、雑費を全額免除しています。 「ほかにもハーバード大学、イェール大学といった資金が潤沢な上位校の多くが、保護者の収入に応じて無理なく払える授業料を設定しています。情報収集して志望する大学の傾向を理解し、民間の奨学金も組み合わせるなど戦略を練れば、金銭面は何とかなることが多いです」(横山さん)