米国、2035年までに温室効果ガス排出量を2005年比で「61~66%削減」へ
記事のポイント ①米バイデン政権は米国の次期NDC(国の排出削減目標)を国連に提出した ②35年までにGHG(温室効果ガス)排出量を05年から61-66%の削減を目指す ③州や自治体、企業などが気候対策を推進する上で、政府のNDCはベンチマークとなる
米バイデン政権は19日、次期NDC(国の排出削減目標)を国連に提出した。2035年までに、2005年に比べてGHG(温室効果ガス)排出量を61~66%削減することを目標とする。トランプ次期大統領は、大統領就任後に、再びパリ協定から離脱すると公言する。しかしバイデン政権下で、2035年の政府目標や達成計画を示すことによって、政権交代後に米国がパリ協定から離脱しても、都市や州、企業などのレベルで引き続き気候変動対策を推進する上で、この目標値は重要なベンチマークとなる。(オルタナ副編集長=北村佳代子) 米バイデン政権は19日、2035年には2005年比で61-66%の排出削減を目指す目標を発表した。 化石燃料の生産削減に関する具体的な計画は盛り込まないものの、2023年のCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)で世界的に合意した「エネルギーシステムにおける化石燃料からの脱却」には言及した。 ホワイトハウスのアリ・ザイディ気候政策担当官は、新たなNDCは米国が2050年までにネットゼロを達成するための軌道に乗せるものだとして、「パリ協定の1.5℃目標を維持するために米国自らの役割を果たす」とコメントした。 米国が掲げた目標水準について、米科学者団体「憂慮する科学者同盟」は、「科学が求める水準には達していない」としながらも、「2035年の目標とその達成計画は、都市や州、先住民、企業がさらなる気候変動対策を推進するための重要なベンチマークとなる」との見方を示した。 2025年1月にトランプ政権が発足するのに伴い、米国が再びパリ協定から離脱することが予想される。2017年にトランプ政権がパリ協定からの離脱を宣言した際も、正式な脱退は宣言してから1年後となった。来年1月に再びパリ協定からの離脱を宣言しても、2026年1月まではNDCの効力は続く。 バイデン政権下で国際気候政策を担当するジョン・ポデスタ米大統領上級補佐官は、すでに民間主導で4500億ドル(約70兆円)を超えるクリーンエネルギー投資が進んでおり、こうした投資はトランプ政権に移行後も、経済と気候に利益をもたらし続けると述べた。