「大学病院」の看護師は「一般病院」よりも「高収入」と聞きました。「医師」の年収は低いそうですが、どうしてそのような現象が起こるのでしょうか?
一般企業の場合、中小企業よりも大企業のほうが年収が高い傾向にあります。そのため、一般病院よりも比較的規模感が大きいとされている大学病院勤務の看護師や医師のほうが年収が高いと考える方もいるでしょう。 しかし、看護師と医師では大学病院と一般病院で年収に違いがあるようです。本記事では、大学病院と一般病院で勤務する看護師と医師の平均年収を解説します。年収差が生まれる理由などもあわせてご紹介するため、参考にしてください。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
大学病院と一般病院の看護師の平均年収
厚生労働省の2023年の「賃金構造基本統計調査」によると、企業規模による看護師の平均年収は表1の通りです。
※総務省統計局「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成 大学病院は一般病院と比べると従業員数も多い傾向にあります。一般病院でも従業員数が多い場合もあり一概にはいえませんが、ここでは企業規模1000人以上を大学病院、100~999人を一般病院、10~99人をクリニックとしてみていきましょう。 調査結果から、一般病院よりも大学病院に勤務する看護師のほうが年収が高くなっていることが分かります。大学病院に勤務する看護師の年収が高い理由は、一般病院では受け入れられない重症度や難易度の高い患者にも対応しており、高い診療報酬を得やすくその分給与に還元されているためです。 また、大学病院のほうがボーナスも多く、そのほかの福利厚生なども充実していることが考えられます。
大学病院と一般病院の医師の平均年収
同調査によると、企業規模による医師の平均年収は表2の通りです。
※総務省統計局「令和5年賃金構造基本統計調査」を基に筆者作成 看護師の場合と同様に、1000人以上の規模を大学病院、100~999人の規模を一般病院として考えると、一般病院に勤務する医師のほうが300万円程度年収が高くなっています。ボーナスでは大学病院のほうが多いですが、毎月の給与は一般病院と27万円程度の差があります。 大学病院の医師の年収が一般病院の医師よりも低いのは、以下のような理由があるためです。 ・営利目的だけでなく研究や医師の教育機関としての目的もあるため ・医師の数が多いため 一般病院は患者の診療による利益を追求を目的としているケースが多いです。しかし大学病院の場合は、大学での研究や医師の育成などの営利以外の部分の役割も大きく、その分人件費がおさえられている可能性があります。 人件費がおさえられているなかで、医師の数も一般病院と比べて多いため、1人当たりにかけられる人件費も必然的に少なくなってしまうのです。