【新潟】“ミスターアルビ”本間勲氏が語るCB稲村隼翔発掘の舞台裏「オファーの手応えは正直無かった」
■“ミスを怖がらない”ことがオファーきっかけの1つに
稲村の大きな特徴でもある左足からの長いフィード。通ればチャンスを生み出すことができるが、そのパスを奪われれば一転してピンチを生んでしまうことになる。 「長いボールを蹴れる選手っていうのはたくさんいるんですが、どうしてもミスが出てしまうと次やらなくなってしまうというのがあります。ですが、彼の場合はミスしても次のミスを怖がらずに同じ状況でも同じボールをトライできる。そこは彼の一番いい部分じゃないかなって思っていますね」 この”ミスを怖がらない”特徴があったことも、オファーを出すことになった大きな理由だという。 「ミスを引きずってしまうと、ビルドアップだけじゃなくて守備のところでも迷いも出てしまうと思いますし、そうすると相手にとっては楽になってくると思うので、もし寄せにいってかわされたとしても次寄せにいって、逆に奪いきるっていうそれくらいの気持ちがないといけないと思うので、そういう強い気持ちを持った選手だなとは感じていますね」
■「このチームで満足せず上を目指して欲しい」
さらに、稲村が他の選手からアドバイスを素直に聞き入れる点も、本間氏は好感を持っていた。 「サッカーやる中でどこかで壁にはぶち当たるかなとは思うんですね。そのときにどう乗り越えるかって自分でいろいろ考えることも必要ですし、人から言われたことを自分で理解してプレーに表現していくかってところも大事だと思います。次のプレー、自分の成長につなげていくっていう繰り返しができる選手がどんどん伸びていくと思っているので、そういう能力はすごく高いんじゃないかなと思いますね」 そんな活躍目覚ましい稲村だが、オファーを出したとき、本間氏は内心、不安な状況であったとも語ってくれた。 「キャンプも呼んでいて、自分たちがやっているサッカーに対しての共感っていうのはすごくしてもらえているなと思っていました。ただ、オファー出したときに、すぐに決めてもらえるなっていうような手応えは正直なかったです」 待つこと1か月ほど。稲村選手からオファーを受けるとの回答があった。 「長引かずに決めてくれてよかったっていうのはありますね。声かけて返事返ってくるまでっていう期間は、僕自身嫌な時間といいますかね、早く連絡来ないかなとはいつも思うので。キャンプで新潟のサッカーに魅力を感じてもらえていたとは思っていたので、思ったよりも時間かかったなっていうのはありますけど。逆に安易に決めるんじゃなくて、しっかり考えて『このチームでやりたいと強くしっかりと考えて決めてくれたんだろう』と思っています」 本間氏のように、「ミスターアルビ」と呼ばれるような選手を目指してほしいかと尋ねると、意外な答えが返ってきた。 「いや、そんなことはないです。このチームで出ることで満足せず上をどんどん目指していってもらいたいなと思いますし、このチームから日本代表に入るような選手に育っていってもらいたいなと思っていますね。ほかのチームに行って日本代表っていうパターンは何回か過去にもありましたけど、このチームから日本代表に入って、新潟というよりも日本を代表するようなセンターバックになってもらいたいなと思っています」
■“金の卵”発掘がスカウトのやりがい
稲村のようにピッチで活躍選手を発掘することがスカウトのやりがいと話す本間氏。今後も金の卵を発掘するべく、全国各地を奔走する。 「自分は主に新人を担当しているので、自分がとった選手が活躍するっていうのはすごくうれしいですし、逆に責任感もあります。チームとしても若い選手が出てくることによってチーム内の競争も高まるし、全体のレベルも高まってくると思うので、しっかりといい選手をこれからもとってそういう選手が活躍するというところでチームの力になれたらなと思います。ひとりでも多くピッチ上で活躍できる選手を全国飛び回って探していきたいなと思っています」
NST新潟総合テレビ