滋賀からもルート再考論 北陸新幹線延伸 衆参議員が「米原」推し 「小浜は京都の理解得られぬ」
北陸新幹線敦賀以西の延伸を巡り、滋賀県の国会議員からも現行計画の「小浜ルート」での整備を疑問視する声が高まっている。石川県などから挙がる「米原ルート」への再考を主張する滋賀県関係議員もいる。与党が小浜での新年度着工を断念する中、ルート見直しを求める動きが強まりそうだ。 「小浜ルートが合理的とは思わない。乗客の利便性を考えるべきだ」。自民党の大岡敏孝衆院議員(滋賀県甲賀市出身)は取材に対し、こう語る。 ●膨らむ工期、費用 実際、国土交通省が昨年8月に公表した試算では小浜ルートの工期が当初想定の15年から最長28年、事業費は2兆1千億円から最大5兆3千億円に膨らんだ。 大岡氏は、小浜ルートでは現在の京都駅から西に5キロ離れた場所に新幹線駅を設ける案が含まれることなどを疑問視し、利用者目線で整備を進めることが重要だと強調。小浜ルートでの延伸に否定的な見方を示す。 大津市を地盤とする日本維新の会の斎藤アレックス衆院議員は「米原論」を主張。小浜ルートの工期・事業費の上振れに触れ「今のままでは京都の理解が得られない。米原に考え直すべきだ」と訴えた。 元滋賀県知事で維新の嘉田由紀子参院議員も米原を推し、「北陸新幹線大阪延伸ルートを考える勉強会」で世話人を務める。自民党の小寺裕雄衆院議員(滋賀県東近江市出身)は「京都は地元負担に耐えられないのではないか」と話す。 JR西日本勤務を経て政治家となった滋賀県の三日月大造知事は昨年12月24日の会見で、与党整備委が小浜ルートでの新年度着工を断念したことについて「残念」と述べた。小浜ルートに関し「国で決定されたことだ。早く着工するのが望ましい」と説明した。 ●三日月知事は? 三日月知事は、小浜ルートは滋賀県を通らないため湖西線は並行在来線に当たらず、JRからの経営分離対象にならないとの認識を示してきた。一方、関係者間では、敦賀以西を小浜ルートで整備すれば湖西線が並行在来線となり、米原ルートなら北陸線(敦賀―米原)が並行在来線となるなど、いずれにせよ滋賀県で経営分離問題が生じる可能性があるとの見方もある。 三日月知事は、与党が2016年に小浜ルートに決める以前、米原ルートを推していた経緯がある。米原ルートを唱える福村章石川県議は昨年12月18日、石破茂首相にルート見直しを要請した後、以前は三日月知事と一緒に米原の旗振り役を務めていたと記者団に説明。「今は知事の立場があるから言えないだろうが、小浜ルートが無理となれば、三日月知事は米原ルートに賛成すると思う」と推測した。