イギリス国会初の女性財務大臣、誕生なるか?レイチェル・リーヴス議員にズームイン
イギリスには700年以上前から財務大臣が存在し、女性が国会議員を務めているのは105年間。3人の女性首相が誕生したが(それぞれの人物の功績をどう評価するかは別として)、女性の財務大臣はいなかった。 【写真】観たら元気をもらえること間違いなし!女性の成功を称える映画10作 労働党議員で金融政策を専門とするレイチェル・リーヴスは、次の総選挙で勝利を狙う。歴史の流れを変えるために。 「女性が政治家になると、多くは社会や家庭の問題を集中的に担当することになります。児童福祉や賃金における男女差の解消は非常に重要な課題ですが、そこにかかりきりになれば、ほかの分野は男性まかせにせざるを得ない。そういうリスクがあるんです」 熱心なチェスプレーヤーでもある彼女は(14歳以下の女子チャンピオンだったそうだ)、オックスフォード大学を卒業しイングランド銀行でキャリアをスタート。以来、数字に生きてきた人物だ。政治への関心が芽生えたのは、公立学校でシックス・フォームの学生だったころ(シックス・フォームは中等教育のあと、大学進学希望者のために設けられた2年間の課程。生徒は16歳でこの課程に進む)。保守党が学校運営の財源カットを敢行したことがきっかけだった。 「いろいろな形で、その悪影響が出ました。運動場の設備は冬は凍えるほど寒く、夏は焼けつくような暑さ。窓もまともに開かないという始末。校内のスペースが足りないという理由から、図書室を教室にしていたことも。私は意欲的な生徒だったけれど、ずいぶん不公平な状況に置かれていると感じていましたね」 リーヴスは金融界でも政界でも、数少ない女性メンバーのひとりになるということを経験してきた。とはいえ、声を上げるのをためらうことはなく、多勢に無勢であっても自身の意思を貫いてきた。 「これはチェスが教えてくれた心構えかもしれない」と彼女は語る。 「世の中はいつも、信じられないほど男性優位。7歳か8歳くらいだったでしょうか、私がチェスの対戦相手と引き分けたとき。相手の男の子に『君はラッキーだね。相手は女の子なんだから、簡単に勝てるはずだよね』と言う人がいました。これはいわば、偏見に立ち向かう最初のレッスン。私は何がなんでも勝ってやると思いましたね」 そして実際に彼女は勝ってみせた。その果敢な姿勢を、今は権力の中枢で示している。リーヴスにこうも尋ねてみた。女性の前任者がいなかったことに対し、気後れしたりしないのかと。 「私は4人の財務大臣の姿を目の当たりにしてきました。うちひとりは、所得税を正確に申告しなかったため辞任に追い込まれ、もうひとりは国の経済を破綻させています。つまり、男性か女性かは関係ないですし、私がインポスター症候群である必要もないのです」