「孤独」ではなく「単独」を楽しめるのが大人、40代にとって「ぼっち」は全然ネガティブではない
「おひとり様」「孤食」「孤独死」など、近年、「ひとりでいること」について考えさせられる言葉がメディアを賑わせていますが、明治大学教授の齋藤孝氏は、これまでも折に触れて「孤独」の意味について考え続けてきました。 齋藤氏によれば、一般に、ネガティブなイメージで捉えられがちな「孤独」な状態は、実は人生を豊かにするための大切な時間だといいます。 ※本稿は、齋藤氏の著書『40代から人生が好転する人、40代から人生が暗転する人』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
■40代は「ぼっち」だって全然かまわない 私はこれまで、折に触れて「犀の角のようにただ独り歩め」という言葉をとおし、孤独の意味について触れてきました。実はこの「孤独」についても、これからの40代がしっかりと向き合うべきテーマであろうと思います。 人生の中で自分にとっての「孤独」の場を用意しておくことはとても有意義なことです。1人ぼっちでいることをネット用語で「ぼっち」などと言うようですが、「ぼっち」だって別にかまわないのです。むしろ積極的にスケジューリングをして、1日30分でもいいので「マイぼっちタイム」を設けてみてください。
私の場合、川辺のほとりで本を読むのが昔から好きで、静岡県の中学校に通っていた頃から、よく犬を連れて安倍川へ行っては、1人で本を読んだものです。これが至福の時間だったのです。 こうした時間というのは、仲間とワイワイ騒いで楽しむのと本質が異なり、自己の内面から満たされる1人だけで楽しめる時間です。特に私は、なぜか昔から川を見ると心が落ち着く習性があるようで、サラサラと流れる川の音と周囲の景色を見るだけで、心をすっぽりとその時間にはめ込むことができました。
これはきっと、人それぞれの心象風景によって落ち着くポイントも違うのだろう思います。 残念ながら今の私の自宅の近くに川は流れていないのですが、ここ数年はカフェに1人で入るときが心を整える時間になっています。 仕事の帰りなどに良さそうなカフェがあると迷わず入り、そこで1時間くらいを過ごしながら、メモを見返したり、打ち合わせの内容を整理したりするのを常としています。 カフェに入る前と後では心の状態があきらかに違っていますし、もちろん仕事も整理されています。私にとっては現代生活のオアシスと呼んでもいい空間なのです。