セブン、「400円以下」弁当の拡充が意味する課題
ただ、こうした方針転換が開発現場に浸透するのには時間がかかる。「『いかにいい材料を使うか』を考える松、竹の商品と、『いかに無駄を削るか』を考え抜く梅の商品ではプロセスがまったく異なる」(青山氏)からだ。 「安い=質が低い」というイメージが残り、当初は担当者やメーカーから反対する声もあがったという。社内やメーカーへの説明を重ね、2023年終盤頃から「ようやく開発体制の足並みがそろってきた」(同)。
そしてここにきて増えてきたのが、400円以下の弁当類というわけだ。店頭では低価格商品の品数を増やすのと同時に、「うれしい値」や「安心価格」といった店内表示(POP)をつけるなど、見せ方の工夫も始めている。 コンビニ業界で圧倒的な強さを誇るセブンでさえ、低価格に対応できなければ、お客が競合に流出しかねないという強い危機感がある。それだけ、消費者の節約志向は根強い。一方で「1:2:1」という比率からも分かる通り、消費者は低価格一辺倒というわけでもない。小売りの現場の試行錯誤は今後も続きそうだ。
冨永 望 :東洋経済 記者