吉野家が買収「ラーメンの食材会社」圧倒的な凄さとは? 麺からタレまで、国内外1600のラーメン店に供給、京都の「宝産業」のこれまでと、「なぜ吉野家グループ入りした」か。
屋台が狭すぎてスープが炊けないので、宝産業の空いているスペースでスープを炊いてくれないかという依頼だった。人気の「金ちゃんラーメン」のスープは宝産業で作っているらしいと一気に噂は広がっていった。 ■ラーメン店の開業支援、海外に工場も 創業者の息子で現・副社長の井上光昌さんはラーメンの食べ歩きが趣味で、自作のホームページを作っていた。 このホームページで「ラーメン店の開業支援をします」という打ち出しをした。スープ・麺・タレを作って、お店の開業の手伝いをしますという内容だった。ホームページが人気だったこともあり、京都・大阪、そして関東からも声がかかるようになる。
その後、1998年関東(千葉県野田市)にも工場を作り、全国のラーメン店の商材を扱うようになる。そこでは中華料理店出身の職人たちが各店のスープの味を再現し、お店にも好評なサービスとなっていった。 「当時は脱サラしてラーメン店を始める人や異業種からラーメンに転身する人が多く、そういう人たちにとってはぴったりのサービスだったと思います。ラーメン作りのセミナーも行っていて、1週間・2週間・1カ月コースなどお店の開業支援もしてきました」(井上副社長)
その後は海外展開を行う。カナダでラーメン店を5店舗展開し、アメリカ進出の土台を作る。その後2010年にはロサンゼルスに工場を作り、アメリカのラーメン店へ商材の販売を始めた。 さらにタイ、インドネシア、フィリピン、フランスと拠点を広げ、グローバルでラーメン店を支えている。 ■開発担当は関西、関東にそれぞれ2人 現在は約1000社、1600店舗のラーメン店に商材を供給している。 麺は60~70種類。10種類のスープを掛け合わせることであらゆるお店のスープに対応できる。タレも40~50種類用意している。関西、関東にそれぞれ2人の開発担当がいて、日々各店の味を追求しているのだという。