吉野家が買収「ラーメンの食材会社」圧倒的な凄さとは? 麺からタレまで、国内外1600のラーメン店に供給、京都の「宝産業」のこれまでと、「なぜ吉野家グループ入りした」か。
しかし、まだまだ壁はある。プロのラーメン職人からすると、スープ工場で作るスープには「スキマ」があるという。スープの味がボケないように調整することは職人にしかできないと考えるお店も多い中、宝産業のスープをそのまま使うのではなく、お店で炊いたスープに追い足しで使うお店も数多い。 「お店でラーメンを食べる価値を出し続けるには、家で食べるラーメンと二極化していかないといけません。我々は今後も店舗用に限定して商材を磨き上げていくつもりです」(井上副社長)
■吉野家ホールディングスとの縁は? 吉野家ホールディングスと宝産業の接点は広島の一軒のラーメン店だった。 2019年、宝産業がスープを卸していた「ばり嗎(ばりうま)」というお店を国内外に展開している株式会社ウィズリンクを吉野家ホールディングスが買収し、ここ5年で売り上げをどんどん伸ばしていった。 「ばり嗎」のラーメンを通して宝産業の商材のクオリティが認められ、吉野家ホールディングスから声がかかった。
「吉野家ホールディングスが店舗の買収だけでなく、川上にも行くことで、ラーメンにいろんな可能性を見出していることを実感します。 個人店の中には後継者問題や値上げの問題でギブアップせざるを得ないところも増えてきています。 個人店では足りない部分を我々で補いながら、お店を大きくしていく流れを作っていきたいです」(井上副社長) ビジョンとして描いているのは「吉野家ホールディングスグループが提供するラーメンの杯数を世界一にすること」。
チェーン化を志している個人店と積極的に組んでいくことで、ラーメン業界をより元気にしていく考えだ。
井手隊長 :ラーメンライター/ミュージシャン