実は野菜の一大生産地! 熊本の野菜の魅力を世界や次世代へ伝えたい 「乾燥野菜」に新たな価値を見いだした起業家、その先の夢
規格外野菜から多彩な商品を開発
――現在の事業内容を教えてください。 現在は26人の従業員がおり、主に熊本県の野菜や果物を乾燥加工しています。トマトが主力製品ですが、それ以外にも10種類以上の野菜を扱っています。 例えば、タマネギ、ニンジン、コマツナ、キャベツなどの一般的な野菜から、地元の果物まで幅広く加工しています。乾燥野菜の製造・販売だけでなく、レトルト加工品や、粉砕した野菜を使った出汁(だし)パックの製造など、事業を拡大しています。 また、自社で加工できない野菜については協力会社に委託して製造するなど、多様な需要に応えられる態勢を整えています。協力会社とはお互いの得意分野をいかして連携し、良い関係を築いています。 ――代表的な取り組みに「トマトロジープロジェクト」があります。 規格外のトマトを活用する取り組みです。熊本県はトマトの生産量が全国1位で、2022年度では国内生産量の18.4%を占めています。しかし、形が悪かったり、傷があったりすると市場に出せません。そういったトマトを有効活用しようと始めました。 2018年のプロジェクト開始から5年間で、約200tの規格外トマトを乾燥させて活用しました。ドライトマトのほかにも、地元の高校や異業種の企業と商品開発をしたり、産地ブランドを訴求したカレーやトマトの成分をいかしたオイルなどを商品化したりしました。 オイル製造後の残渣(ざんさ)はスイーツやせっけんになりました。捨てるところがないんですよ。 最近では、星野リゾートのブランドのひとつである「OMO5熊本」というホテルとコラボレーションし、トマトバターサンドやキーマカレーソースのパンなど、様々な商品開発もおこないました。 熊本のおいしいトマトの魅力を知ってもらう機会につながればと、このように、他企業や学校などとのコラボレーションも積極的に進めています。 ――キッチンカー「ポポット」の活動も始まっています。 「ポポット」は、私たちの商品を直接お客様にお届けするためのキッチンカーです。より多くのお客様へHOSHIKOの商品や熊本のおいしいものを直接ご紹介する機会を持ちたいと考えて始めた活動です。 ポポットのロゴは野うさぎをモチーフにしています。野うさぎは新鮮な野菜や果物が大好きな草食動物で、前にしか進まないそうです。私たちも、こだわって時間をかけて作った商品を、お客様に手軽に食べていただき、おいしいと思ってもらえるよう前進し続けたいという思いを込めています。 現在、熊本県内だけでなく、他県にも出張して販売をおこなっています。先日は私自身もスタッフとして福岡県の糸島市まで出かけてきました。 キッチンカーは、お客様の反応を直接見ることができるのが大きな利点です。また、地元の学校行事などにも参加し、子供たちに野菜のおいしさや熊本の素晴らしさを伝える機会にもなっています。