オンラインMTGのフィルターに負けないファンデ&リップで回復を狙う「M・A・C」事業部長 ライバルは、AI?
WWD:これまでのキャリアをどう生かしている?
リー:これまで情熱を傾けてきたのは、課題のあるブランドをV字回復させること。成功したときの達成感には、中毒性がある。前職は、外資企業が買収した日本のブランド。親会社の意向と日本独特の文化が折り合わず、売り上げが落ちていた。そこでは、美容エディターや美容賢者らが愛用しているのに認知度が低い商品でテレビCMを打ち、改めて認知度を高め、売り上げを伸ばした。マーケティング領域での20年の経験を生かし、「M・A・C」もさらに成長させたい。
WWD:事業部長に着任した当時は、「M・A・C」も伸び悩んでいた?
リー:カラーメイクアップを主軸とするブランドはどこもあまり好調ではなかったので、声が掛かったときは悩んだ。しかし私自身、リップスティックをはじめとする「M・A・C」の化粧品を使っており、愛着のあるブランドだったので、挑戦してみたいと思った。
WWD:日本の現在の商況は?
リー:日本はリップとファンデーションが好調で、世界でトップ10に入る国だ。日本のお客さまは、買い物における失敗を恐れる傾向が強い。だからこそブランドスイッチが起こりづらく、同じ商品が長く愛されている。メイクアップに関しては、ビフォー/アフターをガラッと変えるものよりも、自分らしさを生かすものが人気だ。
WWD:今後のビジョンは?
リー:韓国コスメやプチプラブランドなど、手頃な価格でメイクアップを楽しめる選択肢が増えた。「M・A・C」だけが持つアーティストリーやストーリーを生かし、品質のさらなる向上に取り組むつもりだ。直近の新商品“グロー プレイ テンダートーク リップ バーム”や“グロー プレイ クッショニー ブラッシュ”、“スタジオ ラディアンス セラム ファンデーション”、“スタジオ フィックス フルイッド SPF25”などはスキンケア成分を高配合し、メイクアップブランドでありながらスキンケア効果にも注力して開発している。また、マイクロプラスチックの使用量を削減し、最先端の技術にこだわって製造している。「M・A・C」の品質の高さを、より訴求していきたい。